差がつくコンテンツマーケティングとは?(前編)

近年、さまざまな業界で取り組まれているコンテンツマーケティング。生活者向けのサービス提供会社だけでなく、BtoBビジネスを展開するシステム開発会社なども、自社でメディアを立ち上げ、次々と運営しているようだ。

そこで、The board Media 第三弾では、コンテンツマーケティングの始め方、取り組む際の注意点、差がつくコンテンツについてバリュードライブ株式会社の深尾さんとセッションを行いました。



*発言者は、F:深尾さん、T:田向

コンテンツマーケティングとは?

(T)コンテンツマーケティングの概要と、それがマーケティング活動のなかでどのような位置にあるものなのか教えてください。

(F)まず、コンテンツマーケティングとは、“明確に定義または認知されているターゲットオーディエンスに対し、適切かつ有益なコンテンツを作成、提供することで、自社の売上の向上につながる行動を促すマーケティングの手法”と定義されています。
背景から考えると分かりやすいと思うのですが、コンテンツマーケティングがよく聞かれるようになったきっかけとして、口コミサイトやソーシャルメデイアなどの浸透で生活者が企業より情報を持つことが普通になった、情報の非対称性がなくなった、ということがあります。そしてさまざまな情報を仕入れられることで選択肢が増えた生活者は、これまで使ってきたサービスや商品から容易に離反するようになった。すると、特にBtoBの企業では、これまでのような上位2割の顧客が売上の8割を占める、ということがなくなってきたんです。

この状況で、これまで通りの8割の売上を獲得するために、営業を増やしてプッシュ型の活動を続けるか? というと、それは簡単ではないし限界がある。そこで「お客様に見つけてもらう」という方向に考え方にシフトする流れが出てきたんです。それがインバウンドマーケティングと言われるものですが、その中で、お客様に見つけてもらうために提供する情報に軸を置いたものがコンテンツマーケティングです。

実は、お客様に役に立つコンテンツを提供することは、出来る営業さんは昔からやってきたことで、特に新しい考え方ではありません。ただ、お客様の購買行動の中に、検索、ソーシャルといったデジタルの要素が入り込むことで、企業はテクノロジーを使って効率的に情報提供できるようになった。コンテンツマーケティングというのは、概念に近いものであって、単純に「ブログを書く」といったことではないんですね。

(T)なるほど。最近、「とりあえず書く」という風潮もありますが、そうじゃないんですね。
昔、ビール会社の営業の人が自分たちの商品をお店にいれてもらうために、ビールに合うレシピをお店と一緒に考えた、という話がありましたが、それと一緒ですよね。

(F)そうですね。相手が求める「体験」に沿った情報提供はまさにコンテンツマーケティングです。いまの話だと、お店が求める体験は「お客様に喜ばれるメニューを提供できること」ですからね。
そして、欲しいものを欲しいタイミングで、できるのであれば欲しい手段で提供する、またはお客様が欲しいと思ったタイミングに、欲しい情報をいつでも提供できる状態にしておく、ということです。

(T)そう考えると全く新しいこと、ではないんですね。

(F)はい。コンテンツマーケティングという言葉ができる前から、広報誌や配布ペーパーでやってきた企業もありますからね。

(T)メディアの環境が変わって、提供する方もしやすくなり、受け取る方も受け取りやすい環境が整って、最近盛り上がっている、ということですか。

(F)そうです。これを人間だけでやると、到底コストが合わない。インターネットを取り巻く環境が進化して、ウェブを通じて適切なROIを目指せるようになった、ということです。


コンテンツマーケティングで何を目指すか

(T)コンテンツマーケティングには、直接的な集客というよりはお客様との信頼関係を築くためのもの、というイメージがあるのですが、その点どうなんでしょう?

(F)最終的な目的は、そこにあると思います。
ちなみに、アメリカと日本では、コンテンツマーケティングの目的が大きく異なっています。
アメリカの場合、
1. Brand Awareness(ブランド認知) 
2. Lead Generation(リード獲得)
3. Engagement (エンゲージメント)
がコンテンツマーケティングのゴールとされています。*
*Content Marketing Institute “2015 B2B Content Marketing Benchmarks, Budgets and Trends”

でも、日本の場合は、SEOや、 コンバージョン向上、Webトラフィック向上などが中心で、従来型のWEB解析の延長に置かれている印象です。

(T)そうですね。

(F)誤解のないように言うと、SEOは集客のために重要で、かつコンテンツマーケティングは、SEOのために重要です。そこは間違いないのですが、SEOのためだけのコンテンツは、そのうちコストが合わなくなっていくかな、と僕は思っています。
今、日本では、どこかで読んだ記事が大量に出回っています。日本だと英語圏と比べてどうしても情報量が少ないので、同じソースの二次加工が大量に出回ってしまうんです。一方で、Googleは、顧客の求める情報をできるだけ早く提供すること、を目標にすると公式に発表しています。そのうちSEOのためだけの薄いコンテンツは何らかのアルゴリズムによって排除されるでしょう。そう考えると、そこに重きをおくのはリスクがあるかな、と思うんです。

(T)たしかに、同じような記事をたくさんみますね。コンテンツのオリジナリティ、クオリティが重要ということですか。

(F)そうですね。お客様が処理できる情報量に限りがある以上、量よりもクオリティです。ちなみにアメリカでは、多チャンネル化が進んでテレビ番組が増えても、個人がテレビを見る時間は変わっていません。いかに、選ばれるか、つまりクオリティが大事かなと。
お客様が求めている価値、体験、情報を本当に提供できているか、ということですね。例えば、田向さんのところで提供、体験できる価値は何で、それがお客様にとってどういう価値があるかということを徹底的に考えるといいかなと思います。

(T)そうすると、コンテンツマーケティングは、中期スパンで考えることなんですか?

(F)そうですね。短期スパンだとリスティングのほうが効果的です。

(T)なるほど。コンテンツ一個かくのも時間かかりますからね。

(F)そうですね。


コンテンツマーケティングのはじめ方

(T)コンテンツマーケティングって何から始めて、具体的に何をすればいいんでしょうか。

(F)まずは、自社のお客様がどんな人なのか、見込み客も含めて、どんな生活、行動をしていて、どんなことに価値をおいているか、を知ること。それと自社が提供するサービスが重なるところを見つけることから始めるのがいいと思います。

(F)図で書くと、これまでの情報発信ってこの図の「自社が持っている情報」のところだったんですよ。



(T)これをやっています、これができます、ということをホームページのサービス紹介でアピールしていた、ということですよね。

(F)それで、お客様はその「自社が持っている情報」と「お客様が欲しい情報」が重なる部分だけを読み取って判断していた。

(T)なるほど!お客様がカタログを読んで商品を選んでいたところから、自分たちでお客様が欲しいだろうものを提供する方向によってきている、ということなんですね。

(F)そうです。そしてお客様の興味段階、例えばまだ学習段階の人、真面目に検討したい人などに合わせた情報提供から始めるといいと思います。

(T)重なる部分のテーマを把握して、そこに対して、興味段階に合わせたコンテンツを書いていくことが大事なんですね。

(F)はい。そして、そこで重要なのは、企業としてのスタンスに一貫性をもたせることです。ベンチャーならば、創業時のパッションを持っている社長なり役員なり創業メンバーがそこに関わっていないと、どこか他人事な感じの記事が量産されてしまいます。


コンテンツの制作方法

(T)書くべきテーマが分かったとして、当社のような受託開発会社などは、基本文章を書かないメンバーが多くて、うまい文章書くクオリティのハードルが高い。そこは、どうすればいいんでしょう?

(F)例えば外部の会社が入って、インタビューベースで作っていく方法があります。本業がある中で、プロじゃない領域はある程度外の力を借りるのは必要だと思います。

(T)なるほど、インタビューはいいかもしれないですね。書くのはだめだけど、メンバーもそれぞれ意見を持っていますし、話すことはできますもんね。

(F)ちなみに「Facebookで出せばいいんでしょ?」とおっしゃる方も多いんですが、Facebookはあくまでも出先機関として考えた方がいいと思います。FacebookやTwitterは、あくまでも顧客と自社を繋ぐための出先機関で、いつ仕様変更があるかわからないし、また新しいプラットフォームが出てくるかもしれない。情報はオウンドメディアに掲載し、ソーシャルメディアでつながり、コミュニケーションするイメージです。



(T)最初って自分たちのサイトに来てもらうことも難しいので、そこはFacebookやTwitterを入り口にする、ということですかね。

(F)そうですね。つながる手段という意味でソーシャルメディアは重要です。コンテンツマーケティングは、これまでの手段を否定するものではないので、プレスリリースやイベント等も組み合わせて行うことも重要です。

後編へ

バリュードライブ株式会社 代表取締役 深尾尚之
東京大学文学部卒。日本IBMにてマーケティングに従事した後、2012年コンテンツマーケティング会社 バリュードライブ設立。 中堅から大手企業まで、幅広い分野でコンテンツマーケティング実践のパートナーとして、企画から制作までを実施している。また、コンテンツマーケティングをテーマに国内外のマーケティング情報を発信するコンテンツマーケティング研究所を運営している。

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