ベンチャー経営者が、デザインと向き合うための第一歩(前編)〜デザインの力と依頼の仕方

企業ロゴやサービスロゴなど、”デザイン”は起業やサービスを作るタイミングで必ずついてくる難しい問題だ。

プロのデザイナーにお願いした方がいい、と知りつつも、依頼できる人がない、依頼の仕方や相場が分からない、などの理由でデザイナーとの付き合いがない企業も多いのではないだろうか。
そこでデザイナーの探し方、デザイナーへの依頼の仕方、またデザインの効果など、経営者から見たデザインにまつわる疑問について、デザイナー 矢野宏さんとセッションを行いました。




*発言者は、Y:矢野さん、T:田向

“デザイン”の効果とは

(T) デザインという言葉自体が身近である一方で、デザイナーがいないベンチャー企業がデザインを考えることは、非常に難しいと思うのですが、企業にとってデザインが果たす役割、とその重要性について教えてください。

(Y) デザインは、企業やそのサービスに対する最初のとっかかりとなるファーストインプレッションを生むものです。私は元々音楽会社のインハウスデザイナーだったので、デザインが必ず求められる業界にいましたが、多くの方にとって、デザインは直接接することが少ない分野かもしれないですね。

デザイナーがいなくても自分でプロデュースできるといいかもしれないですが、色や文字の書体など分かりやすい部分から、一つひとつの文字の大きさや間隔、そういった微妙なバランスから、人に伝わる印象は変わります。デザインに関わる人は、”これがどう世の中に伝わるか”、”どういうふうに見てもらえるか“ということを常に考えています。
そういった思考やアウトプットの蓄積があるのと、ないのではモノに対する考え方が違うので、もちろんそれがすべてではないし、こだわりすぎるのも違いますが、伝えたいという想いがあるなら、デザインはプロにかませたほうがいいものが出来ると思います。

(T) 僕は全くデザインができないのですが、重要だと考えていたので、起業した時から名刺のデザインや紙の選定にこだわってきました。

(Y) 普通に生活をしていて目にするもの、世の中にあるもの、はプロによってデザインされたもので溢れていますから、こだわりがあるのとないのでは、印象は変わりますよね。
CI(コーポレートアイデンティティ)を考える際も、有名企業や有名デザイナーに頼まないといけないのでは、と大げさに考えず、無名でも優秀なデザイナーさんはたくさんいますので、中小のデザイン制作会社やフリーランスのデザイナーに頼んで、どうしたいか、きちんとコミュニケーションしながら制作していくと、いいものが出来ると思います。


ロゴマークの力

(T) CIという言葉が出ましたが、CIというとロゴやコーポレートカラーを決めていくというイメージがありますが、どういうことをやっていけばいいのでしょうか。

(Y) おっしゃる通りで、伝えたいことに沿ってロゴやコーポレートカラーを表現していきます。人間が一瞬でぱっと判断するときには、文章よりも形の方が、印象が生まれイメージが伝わりやすい。
例えば、アップルの林檎やナイキのスウッシュ、NTTの一回転している部分など、企業名を聞くと形が頭に浮かんでくる、またそのトレードマークをみて企業名が浮かぶ、そういうキャッチの強さは、ロゴマークのほうがあると思います。それを昔から企業は大切にしてきました。
ロゴマークのない企業もありますが、その場合は文字自体がトレードマークとして捉えられるように作られていることもあります。

(T) そうですね。アップルと言われるともう文字より林檎マークが頭に浮かびますね。

(Y) はい。いつの間にか文字がなくなってアップルは林檎だけ、ナイキもスウッシュだけになりました。

(T) アップルもナイキもブランド力が高くて、みんなで認知している企業だから出来るのだと思うのですが、スタートアップや中小企業等では、そういったアプローチはどうでしょうか。

(Y) いきなりロゴマークだけだと、きついでしょうね(笑)

(T) (笑)じゃぁ、将来のために作っておくといいですかね。

(Y) ないより、あった方が印象に残ると思います。
文字はそれ自体に意味があるので、文字が持つ意味合いに引っ張られてしまうのですが、トレードマークは、形自体に意味がないので、そこに自分の思想や企業理念を投入できる。そういう意味で、言葉より面白く、直感的に伝えられるものがありますね。

(T) CIのデザインを相談するときには、事業内容や企業概要を説明して、何を伝えたいか、という点をデザイナーさんに伝えればいいのでしょうか。

(Y) はい。企業理念や企業ロゴの利用シーンなども共有していただいて、進めていくといいと思います。


デザインの依頼に必要な情報

(T) デザイナーさんに制作を依頼する際、何を伝えればいいのか、悩みます。あまり細かい事を指定すると、クリエイティブの幅を狭めるのでは、という懸念もあります。
デザインを発注する際のポイントや注意したい点など教えてください。

(Y) 大前提として、制作するもののコンセプト、重要なテーマ、またキーカラーなどがあれば共有していただきたいです。重要な必須条件が共有されていなかったがために、何日もかけて思考錯誤して形にしたものが結局無駄になるというのは、とても辛いですし、納期がもったいないです。
また、必須条件以外で、ここから先は自由に解釈を考えてほしい、という境界線があると、デザイナーが自由に提案できる部分がはっきりしますので、クリエイティブも見せやすいと思います。
それに、情報が多すぎて困る事はないですよ。

(T) そうなんですか!これまで僕は、デザインは重要だと思いながら、その分野で素人なので自分が言った事をそのまま捉えられても困ると感じてしまい、最低限の事しか伝えて来ませんでした。

(Y) その先にズレがなければ、それでも問題はないと思いますよ。
でも、取捨選択をデザイナー側でして形をつくっていくこともできますし、情報が多すぎて困るのではないか、という懸念はされなくていいと思います。
いろんな情報を出しても、結局反映されないこともありますしね(笑)

(T) (笑)
重要なポイントを押さえつつ、考えている事を共有すればいいんですね。

(Y) はい。あと発注側の好みを伝えていただけるとスムーズに進む事もあります。こうしてほしい、といって別のデザインを持ってこられるのはちょっと違いますが、世の中に出ているデザインで好きなもの等を共有してもらうと、好きなテイストや趣味趣向がみえてきます。

細かい点をリクエストするのがどうか、というのは、デザイナーによると思います。すごく作家性の強いデザイナーで、ちょっとでも狂うと気に入らないという人もいますし、そうではなくリクエスト対して柔軟に対応してくれる人もいます。

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矢野宏
1978年 東京生まれ。本郷高校デザイン科卒業。桑沢デザイン研究所卒業
1999年 アートディレクター/フォトグラファーのモート・シナベル氏に師事
2001年 ビクターエンタテインメント・デザインセンターに入社
2008年 中川 優氏と共にN/Y inc.設立
2010年 独立

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使い勝手だけでなく、boardのコンセプトも好きです。ドッグフーディングを実施している事もいいな、と思っていました。私たちも新しいサービスを自社で開発していることもあって、boardの開発姿勢にも共感が持てたんです。

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