ベンチャー経営者が、デザインと向き合うための第一歩(後編)〜デザイナーとのつきあい方

企業ロゴやサービスロゴなど、”デザイン”は起業やサービスを作るタイミングで必ずついてくる難しい問題だ。

プロのデザイナーにお願いした方がいい、と知りつつも、依頼できる人がない、依頼の仕方や相場が分からない、などの理由でデザイナーとの付き合いがない企業も多いのではないだろうか。
そこでデザイナーの探し方、デザイナーへの依頼の仕方、またデザインの効果など、経営者から見たデザインにまつわる疑問について、デザイナー 矢野宏さんとセッションを行いました。

今回は後編です。(前編を読む



*発言者は、Y:矢野さん、T:田向

デザインの修正やバリエーションについて

(Y) デザインを修正したいときに、デザイナーに声をかけることを躊躇して、勝手にデザインを変えてしまう、ということがあるんですが、何も伝えないまま勝手に進めてしまうのは、どちらにとっても良くないので、コミュニケーションをとることが重要です。

(T) 発注側、つまり使う側としても、想定していなかった場所で使いたいタイミングが出てくるんですよね。サイト掲載用につくっていたロゴをfacebook用の正方形のアイコンにしたい、とか。

(Y) そうですね。違う輪郭で切り取るのはいいのですが、変形をかけたりするのは全体のバランスが崩れるので、やめたほうがいいです。横組みを縦組みにかえるとか、新しいバリエーションをつくることも出来ますし、声をかけていただいたら使う場所に合わせて組み直すのに、と思います。

(T) 無頓着でいると、細かい計算があった上でそのデザインになっていることを理解できないまま、掲載したい場所に収まるように変えちゃったりするんですよね。

(Y) 変形をかけないと入らないとか、どうしてもここに掲載したい、という場合、相談にはお金はかからないですし、まずはデザイナーに相談してみてください。

(T) 受託開発をやっているとECサイトの構築等を依頼されることもあり、その場合デザイナーが当社には居ないので、クライアントとデザイナーの間に僕が入って進めていく事が有ります。
そういった場合のアドバイスはありますか?

(Y) 間に入るのは、大変ですよね。
僕の場合、アーティストのグラフィックなどを担当する事が多いのですが、その場合、アーティストの意向がレコード会社を通して伝えられてきます。そうすると、ちょっとしたニュアンスを聞きたいときなどアーティストと直接話せた方が早いな、と思うときもあるので、場合によってはアーティストと進めて、レコード会社に相談、報告する場合もあります。
プロジェクトのケースによりますが、中間に入る人も全員顔を会わせて打ち合わせをする機会があるといい、と思いますね。
また、ひとつのプロジェクトに対して決定権がある方と、ちゃんとコミュニケーションをとる事が重要です。


具体的なデザインアドバイス

(T) boardのUIを見てどうですか?

(Y) シンプルで使いやすそうですね。

(T) 実はboardは、bootstrapベースのデザインテンプレート購入し、それをベースに僕が直していってできているので、どこかのタイミングでちゃんと奇麗にしたいんですよね。

(Y) クラウドサービスを使っている方達は、より直感的に使えるサービスを求めていると思いますし、そういったものに慣れていると思うので、よりシンプルな方がわかりやすい、と思います。でも、なかなか削るところはなさそうですね(笑)
案件一覧の書類・編集など、並んでいる同じ文字をアイコンにかえる等はできるかもしれないですね。

書体やレイアウトを変えるなども考えられるかもしれないですが、洗練させることだけを重要視して、文字を小さくして、線を減らして、とやっていくと、幅広いお客さんにとって使いにくくなる可能性もあるので、デザインと機能性のバランスが重要です。

(T) boardのWebサイトについてはどうですか?

(Y) こちらもシンプルで、わかりやすいですね。
見出しを太字にするなどして、主要な部分を目立たせるのもいいかもしれないです。そこが理解できれば、補足部分は文字が細くても頭に入ってきます。その細さも機能性とのバランスを考慮して、デザインを考えるといいと思います。

でも、今はいろんなツールで、書体や文字の大きさのバランス等を含めあらかじめ設定されたデザインを選んで使うことが簡単にできるようになりましたよね。

(T) そうですね。だからこそ、これからは本当にちょっとしたことで差がでてくるんだろうと思っています。

(Y) Webサービスは特にそうでしょうね。


紙とWebの違い

(T) 気になっていたのですが、紙とWebのデザインは全く違うんですか?

(Y) 紙は紙の種類によってつたわる手触り、印刷をインクにするのか活版にするのか、などで全く表現できるものが違ってきます。Webはモニターの違いはあるけれど全部光なので、そこが違いますね。
私は紙を中心にやっていますが、Webは日々進化しているのでデザイナーは大変だと思います。

(T) プログラムが書けないと表現が出来ない、などWebの世界ではデザインと技術の距離が近づいてきていますもんね。僕は全く紙が分からないのですが、一度boardを紹介するカードを作ろうと思って、自分で挑戦しましたが、収まりが悪くてやめました(笑)

(Y) 紙は出力するものの形やサイズで、そこにのせる文字サイズが全然違ってくるので、その感覚は紙のデザイナーは持っていますね。
私が学生のとき、答えはないけれど文字のパーツをきりとって、近づけたり離したりして気持ちのいい距離を探すという授業があったのですが、紙にはWebにはない文字詰めという作業があります。
例えば、BOARDを大文字で書くとAの横に少し空間が空きますよね。この部分を少し詰めて全体の文字の並びのバランスをとっていく作業です。分かりやすい文字でいうとWも下の方が空くので隣の文字と近づけてバランスをとります。



(T) なるほど。そんなことをやっているんですね!いつもデザイナーさんに頼むと奇麗だったりバランスがいいことは感じるんですが何をやっているのか、というのは知らなかったです。

(Y) はい。これはとても基本的なことで、それだけじゃないですけどね(笑)


デザイナーの探し方

(T) お願いするデザイン会社、またフリーランスの方を、どのように探せばいいんでしょうか。その際に注意するポイントなどがあれば、教えてください。

(Y) デザイナーは、職業が同じでも、十人十色です。制作物に対して具体的にこうしたい、というイメージがあるのであれば、それに近いデザインをつくっているデザイナーを探すといいと思います。デザイナーを紹介する書籍もあるので、そういったものから探すのがいいですね。
Webでもデザイナーさんを紹介しているものもありますが、あまり多くない印象ですね。

また、今は、いろんな会社がデザイナーを輩出していて、世の中にフリーランスのデザイナーがたくさんいます。そういう方が入っているシェアオフィスのコンシェルジュに問い合わせるのも、いいかもしれません。

(T) それいいですね!希望に添ったデザイナーさんを紹介してくれる人が中間にいるといいな、と思っていました。

(Y) 例えば私の事務所がある、co-labはシェアオフィス業界としては比較的規模も大きいので、いろんな方が居ます。渋谷、千駄ヶ谷、西麻布、二子玉川、代官山、また墨田区にもありますし、Webデザイナー、インテリアデザイナーなど様々なクリエイターの方がいます。また、知り合いの方にデザイナーを紹介してもらうのもいいと思いますよ。


デザイナーとの契約について

(T) なるほど。
制作物は常に出てくる一方で、デザイナーさんにコンスタントに毎月発注するケースはほとんどないと思います。デザイナーさんとのおつきあいや契約形態は、どのようなものがあるんでしょうか。

(Y) そうですね。毎月契約というのは、年間で続く大きいプロジェクトや雑誌の連載など以外では、あまり聞かないですね。ほとんどの場合がアウトプットへの対価の報酬だと思います。

(T) 受託開発と同じような感じですね。
システム顧問のような形で、制作のために手を動かしてもらう時間を一定量までと決めて、それ以外はいつでも相談できる、というデザイン顧問という形態があるといいですね。そうすると、アウトプットを決める前段階での相談もできますし。

(Y) デザイナーも専門職ですからね、今後、そういった形ができるかもしれないですね。

(T)これまで質問してきたように、デザイナーの知り合いがいない、単価の平均値がわからない、どうお願いすればいいかわからない、というのは中小企業経営者が悩んでいるところだと思います。

(Y) 今はフリーランスのデザイナーさんはたくさんいますし、能力が高くてもその割に安くやってくれる方もいます。もちろんピンキリですが(笑)
デザインを依頼するハードルは高くないので、思い切って頼んでみるといいと思います。そして依頼するときには、先に予算規模や限度額を伝えるといいと思います。

(T) 躊躇せずお願いしてみて、きちんとコミュニケーションをとることが大切なのですね。ありがとうございました。


矢野宏
1978年 東京生まれ。本郷高校デザイン科卒業。桑沢デザイン研究所卒業
1999年 アートディレクター/フォトグラファーのモート・シナベル氏に師事
2001年 ビクターエンタテインメント・デザインセンターに入社
2008年 中川 優氏と共にN/Y inc.設立
2010年 独立

board事例インタビュー

プロジェクトを持つ全員が利用。営業の打ち合わせでも欠かせないツールになりました。
24-7 代表取締役 CEO 田村慶氏

これまでは、見積書はエクセル、請求書は弥生販売、見積や予算の管理はGoogleスプレッドシートを使っており、見積書、請求書、見積管理、予算管理を統一したいと思ってずっと探していました。色々と他のツールも検証しながら平行して使っていましたが、今は『board』一本です。なくせないツールになっていますね。

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