企業経営に必要な士業の種類とその見つけ方

契約締結、業務の拡大やオフィスの移転など、専門家が必要な場面は会社を経営する上で度々発生します。案件に対しどの専門家に相談するのが最適なのか、専門家をどのように探し、選択すればいいのか、迷うことも多いのではないでしょうか。

そこで、サイト上で質問を入力するとその案件に最適な専門家から返信が自動で届く、ビジネスに特化した7種の士業登録者数No.1の「Gozal」を運営する株式会社BECのCEO 高谷さんに、会社経営にかかわる複数の士業との付き合い方について伺ってきました。



会社経営に関係する各士業の役割について教えて下さい。

企業経営において、それぞれの士業がどんな場面で関わるのか。大きく分けると次のようになります。
■弁護士
・予防法務(契約書の作成や各種規約のデザイン、違法性の発見)
・紛争対応(訴訟に関するサポート、裁判所対応)
士業のなかでもカバーする範囲が広く、裁判所とのやりとりなど、弁護士さんでなければ行えない業務もあります。

■弁理士
・意匠権、商標権、特許申請、無形資産の権利化
・発明の権利化
・知財侵害訴訟など紛争等のサポート
資格としては弁護士でも同じ業務を行えるものの、ノウハウが必要なものも多く、弁護士さんと弁理士さんがチームを組んで対応する場合もあります。

■公認会計士
・上場企業の監査業務
・上場準備のための過去2年分のチェック
・上場可能かどうかのショートレビュー
上場するには大手監査法人に所属している公認会計士に上場準備のための監査を受ける必要があります。独立している公認会計士の方もいますが、ダブルライセンスとなっている税理士・行政書士として登録・開業されていることが多いです。大手企業の管理体制をチェックした経験値があるので、連結会計とか、買収案件の会計など、普通の税理士さんが知らない税制や海外の会計処理を知っている可能性が高く、大手のノウハウを持っている方が多いという利点があります。

■税理士
・税務関係のすべて
中小企業の最も活用頻度の高い士業で、税理士さんが窓口になって他の士業に業務をふることもあります。

■司法書士
・本店移転、資金調達、株式発行など定款に関わる法務局への登録業務
会社にとって大きなイベントの際に、関係する役所に届出が必要な書類の作成・届け出などでお世話になります。

■行政書士
・許認可に関わる届け出の代行
日本は申請する許認可の種類が多いので、業態によって申請する内容が変わります。行政書士さんのなかでも飲食店、美容室、古物商に関わる申請など、それぞれ得意とするジャンルがあります。

■社会保険労務士
・雇用保険、社会保険に関する書類の作成・提出
・労務に関する相談
・労使関連の紛争の対応
従業員が10人以上になった場合、必要となる就業規則の作成なども相談できます。
今述べた弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士の7つの士業は会社経営にとって一般的に必要となる士業の方たちです。Gozalでは、この7種類の士業に関わる約200社に登録いただいています。また、併せて中小企業診断士、不動産鑑定士などの資格を持っていらっしゃる場合もあります。
それぞれの士業の種類によって役割が分かれているだけでなく、さらにその士業のなかでも個人によって、得意分野は違います。例えば、弁護士さんでも従業員の雇用労務に強い方もいれば、知的財産の申請書類を書くレベルから対応してくれる方もいます。それぞれ要求できる役割は違うので、その点も考慮しなくてはいけません。


起業直後や中小企業の場合、 まずはどのような士業の方との関係からスタートするのが良いでしょうか?


まず、できるだけ創業期からすべての士業の方とお付き合いすることをおすすめします。依頼したり顧問になってもらうお付き合いではなく、まずは無料相談をしたり、飲み友達になるだけでもいい。士業の方と話をするだけで、アドバイスや気づきをもらえるので、様々なチャネルは作った方が良いと思います。
どんな士業に依頼する必要があるのかという座組みは、ビジネスモデルによって違います。一般的な企業では起業当初は税理士さんだけで十分でしょう。ただし、バイオベンチャーや革新的な技術を商品化するビジネスの場合は、権利登録を行う知的財産に詳しい弁理士さんと組んでおく方がいいですね。弁理士さんも強いのがバイオなのか、ソフトウェアなのか、それぞれの技術に合わせた方と組んでおくのは大事だと思います。


前例のない新規ビジネスの立ち上げの場合はどんな方が必要ですか?

まだ市場がない圧倒的に新しいビジネスをする場合に、関連する法令に事例がないケースもかなり増えてきています。最近の例だと、クラウドファンディングやairbnbが挙げられます。
新しいビジネスをする際には、関連法令の趣旨などから法務設計をしていかなければならないので、最初から弁護士さんに相談したほうがいいですね。
新しいビジネスに対する法令がない事例に対しては経済産業省による「グレーゾーン解消制度」というものがあります。また、新たに挑もうとしているベンチャーさんが最初にそのビジネスに関連する法務省などの省庁に審判をあおぐことができる制度もあります。こういったやり取りの窓口となるのも弁護士さんで、「グレーゾーン解消制度」のような新しい制度に関する情報も提供してもらえます。この点からも、自社のビジネスとその周辺の法務に詳しい方を選ぶことが重要です。
Gozalでは、登録ユーザーからの相談は無料で、クラウド上に企業法務に関する悩みを登録できます。それを読んだその内容に対応できる各士業の担当者が回答する仕組みで、だいたい24時間以内には回答がありますので、誰に相談すればいいのかわからない場合や探す手間を省きたいときには、活用してみてください。内容にもよりますが、5分ぐらいで返信が届くこともありますよ。


士業の方に毎月お支払いする金額の目安はどれくらいですか?

メインとなるのは「顧問型」で、月額で報酬を支払う形です。報酬は士業によってまちまちですが、弁護士で月5万~10万円、税理士さんや社労士さんで月3万円前後からですね。

このほか、特許の出願や会社の登記の法務など、プロジェクトごとに依頼し、スポット契約で報酬を支払う「案件型」。日本ではまだ多くはないのですが、株を所有してもらい、その価値が収入となる「投資兼顧問型」というものもあります。


Gozalのようにクラウド上で相談できるメリットを教えてください。

「誰に相談していいのかわからない」と悩む時間や探す手間がない点ですね。登録した悩みに対して届いた回答から選ぶことができるうえ、サポート金額をチェックし、依頼し、入金するところまでGozal上で行えます。もちろん、事前に直接会うことも可能です。

Gozalでは企業側と経営者の間の案件の件数や手数料ではなく、登録している士業の方からの利用料(月額4980円~)契約によって収益を得ています。相談された案件に対して一番早く回答した人の採択率が高いので、士業の方からのレスポンスは速いですね。これ以外にも3分ぐらいで事務所の基本的なページが作成できるなどの士業の方々への業務サポートもあり、さらに今後は顧問先とのフォルダの共有など、企業と士業の方々とのやりとりを管理できる顧問ツールの導入も予定しています。


士業の方を選定する際に、ポイントとなる点を教えてください。


まず前提として、企業の経営者の方にはマインドセットが重要であることを知っていただきたいです。専門家に案件を投げてしまえば、向こうが全部やってくれるだろうと思ってしまう方がいらっしゃるのですが、士業の人は神ではありません。いい結果を求めるのであれば、企業としてその案件をどのようにしたいのか、何をやってもらえるのか、何ができるのかなど齟齬がないように情報の共有を行い、お互い積極的にコミュニケーションをとることが必要です。
そのうえで、候補者の分析となるのですが、まずは過去の経歴やどんなクライアントがいるのかの確認をされるといいと思います。同じ業種のクライアントが複数ある人は、市場についての情報や過去事例などに詳しいというメリットもあります。
次に自社が持っている事業への理解度がどれくらいあるのか、業界の知識を持っているのかという、士業の専門以外の知識の有無も確認すべきポイントです。また最近は業務に関連するITサービスの知識や利用経験も重視されますね。税理士さんに自社が利用している決済システムの名前を出して話が通じないと仕事になりませんから。
シンプルに、単純に馬が合うのか?というのもポイントです。例えば税理士さんとは世間話から将来の目標まで話すことになります。そこで話すのがつらいとなると、お付き合いを続けていくのは厳しいですよね。


契約を行う前に確認しておいた方がいいことを特にあげるとすれば何でしょうか?

まずは自社に合わせたプランを設計してもらうこと。その上で、後々のトラブルを防ぐためにも、何をやって、何はやらないのか、顧問料金の中でどこまでカバーしてもらえるのかなどをしっかり話をしておくべきです。そのやり取りで相手の柔軟性を判断することもできます。
同様に、コミュニケーションツールとしてメールやチャットワーク、Facebookなど、何を使えるのか?というのも事前にすり合わせた方がいいですね。これはレスポンスの速さにも関わってきます。
一度契約してしまうと、別の事務所に変えるにはスイッチングコストが発生してしまいます。単に担当者と合わない場合は、同じ会社の別の担当者に変えてもらうという相談もできますが、やはり創業期からいろんな方と話をしておいて、長くお付き合いする相手をしっかり決めるべきですね。ひとつのところしか知らないと、比較する基準も持つことができません。そういう点で、Gozalは相談に対し、返信した複数社を比較できるのでいいと思います(笑)。

経営者の役割は決断です。バックオフィスのクオリティを上げるために専門家を適材適所に配置し、うまくつきあっていくことが重要です。


株式会社BEC 代表取締役 髙谷元悠 
神戸大学在学中に公認会計士試験論文式に合格。在学中にスタートアップ4社で勤務し、WEBサービスの企画・営業、Ruby on Railsによる開発、事業計画書の作成、経理を担当。大手監査法人に勤務後は、IPO支援、M&A、上場企業監査を担当。サイバーエージェント主催のイベントにて優勝し、株式会社BECを創業。士業のクラウドソーシング「Gozal(ゴザル)」を、正式リリースから8ヶ月で日本最大級の士業クラウドソーシングサービスに成長させ、中小企業のバックオフィスの悩みをゼロにするべく奮闘中。

board事例インタビュー

経営者が開発した経営者のためのサービスなのがいい。本当に必要な数字にいつでもアクセスできます
株式会社co-meeting 取締役COO 矢野貴明氏

以前はExcelとZohoで管理していました。はじめは「この業界で、B向けの経営管理のサービスが出たんだ」という単純な興味でサイトを覗いたのですが、毎月売上が発生する自社サービスと、単発の受託開発、技術支援など、我々の全事業の売上管理と見通しが一元管理できるサービスであることが分かりboardに切り替えました。

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