株式会社INST 代表取締役社長 石野幸助氏にboard導入の経緯や効果を伺いました。
事業内容を教えて下さい
「コミュニケーションをスマートフォンに最適化する」というのをテーマに事業を展開しています。B2Cのコミュニケーション手段はメール・電話がほとんどでここ20年変わっていません。ただ、個人間ではLINE・Facebookなどでのやり取りが中心で、メールをしなくなっており、電話する時間も減っています。
ようするに、電話もメールも使われづらくなってきているツールなのに、そこにメールを送って開封率が悪いであるとか、電話をかけても出てくれないとか言っているのが現状です。
それを解決するために、まずはメールの代わりにSMS(INST SMS)を提供し、今後、会話の代わりになるものとしてチャットを提供する予定です。
また、声を聞いてお話したいというケースもありますので、電話をより安全にするために、電話番号を開示せずに電話ができるサービス(INST Voice)を提供しています。これによって、たとえばC2Cの取引において、電話で確認したい場合などにおいて、電話番号を取引相手に公開しなくても電話できるようになります。
これらのサービスを「アプリレス(アプリを必要としない)」な形で提供し、ITリテラシーが高くないユーザーでもスムーズに使えるようにしています。
『board』を使うことにした理由を教えてください
個人的にクラウドサービスが好きだったので、起業するにあたって、クラウド会計のfreeeを使いたいと思っていたので、freeeと連携できるというのは大きかったです。今では、boardは欠かせないものになっています。また、ビジネスで使うアプリケーションは、華やかなものではなく「いぶし銀」であるべきと考えていて、実際にboardを使ってみると、「そうなんですよ、ここなんですよ」と感じることがすごくあります。
たとえば、顧客マスターの社名を変更しても、過去の見積書や請求書は当時の状態が残っており、最新のものに更新したい場合だけ、手動で更新するようになっていますよね。こういう細かいところがすごいなと。そうしないと過去の請求の情報と付き合わなくなってしまうので。
そういう「いい意味で地味」なところが気に入っています。
『board』をどのように利用していますか?
営業管理ツール兼支払い請求管理ツールという使い方です。受注業務では、受注フェーズに近づいてきたお客様はboardに登録し、そこから見積書を作ってPDFで送ります。受注したら、請求書を発行し、そのデータがboardからfreeeへ連携し、freee側で楽天銀行と連携して入金消し込みを行う、という流れになっています。
発注業務は、請求書が届いたらとりあえずboardに登録するようにしています。boardに登録しておけば、ダッシュボードに「今月未払い」が表示されるので、支払忘れの防止になります。
僕の場合、営業管理ツールとしてもboardを使っているので、ログインする頻度が高く、常にダッシュボードに未払い・未請求が表示されていることによって気づけるようになっています。
『board』の利用メリットを感じるのは何ですか?
見積書・請求書が案件ベースになっているので、情報が分散せず、管理がしやすいと思っています。また、見積書の登録の際にテンプレート機能などがあるので、入力の手間が減り、「またこれをやるのか」と感じることが少ないのが非常にいいですね。
営業視点としては、スムーズに見積もりを出せるようになっているのは大変ありがたいです。うちのサービスの場合、カスタマイズがあるわけではないので、見積書の内容はほぼパターン化されています。営業から帰ってきて、名刺の情報を顧客・担当者情報として登録し、すぐにテンプレートから見積書を作成できます。
あとは、ダッシュボードの表示で、「未請求」「未払い」などのアラートが赤のビックリマークで視覚的にわかるようになっていて、心理的なプレッシャーというか、「はやくやらないといけない」ということがわかりやすくなっているのがいいですね。
boardのサイトのトップに「バックオフィス業務のために起業したのではない」って書いているじゃないですか。ほんとうにそうだなと思います。
独立する時に、なんとなく事務の人が必要なのではないかと考えていたのですが、board・freee・楽天銀行と連携して使っていると、事務の人が必要ないほどバックオフィス業務がかなり少なくてなっています。
今のうちの会社のフェーズだと、バックオフィス業務というのはすごくコストになってきてしまうので、それを自分のちょっとした工数と月額の料金だけでまかなえるというのはすごくありがたいです。
『board』への要望を教えてください
名刺管理系のツールとの連携を強化してくれると嬉しいです。ただ、名刺管理側の情報は誤字などがある可能性があります。boardの情報は請求書の発行などに使われるので、その点は注意が必要ですね。
また、現在、受発注の紐付けが案件単位ですが、サービスのカテゴリーベースで紐付けできるといいですね。1つのサービスで複数の受注(案件)がある場合、サービスの原価(発注)は案件ごとではなくサービス全体で共通なので。
今後の事業の展望を教えてください
今後、コミュニケーションの形が変わってくると信じていて、C2Cが変わったのでB2Cも同様に変わってくると思っています。そういうきっかけが作れればいいと思っています。個人向けの営業の場合、嫌がられることが多いと思うんです。ただ、それは、これまでのコミュニケーション手段が電話やメールしかなかったからだと思っていて、オンラインコミュニケーションが入ってくることによって、そういう個人向け営業の地位やサービスレベルが向上すればいいなと思っています。