進化するリーガルテック。クラウド契約のメリット

進化するリーガルテック業界で、クラウド上で契約業務を簡単に行うことができるサービスがリリースされています。従来の契約書の締結には欠かせない収入印紙や代表印は必要ないのだろうか。

日本で“クラウド契約”をうたう初のサービス「CloudSign」(クラウドサイン)の企画開発を担当する弁護士ドットコム株式会社の岡本さんに“クラウド契約”のメリット、デメリットについて、お話を伺いました。




”クラウド契約”という形態は、日本ではまだまだ馴染みがないと思うのですが、まずその概要について教えて下さい。

”クラウド契約”というのは「クラウドサービス上で契約の作成、締結、管理をすること」を指します。
クラウド契約は「電子契約(=電子的に契約締結すること)」の一種です。電子契約は、ビジネスでは建設やSIの請負契約である程度普及しています。またオンラインバンキングやスーパーのPOSシステム、身近なところではアマゾンや楽天で買い物をするのも広い意味ではこれに含まれます。
契約は口約束でも成立しますが、言った・言わないの争いになるのを防ぐには契約書が必要です。日本では一般的に印鑑を用いて本人認証を行いますが、クラウド契約ではクラウド上で本人認証を行います。また紙の代わりに契約書ファイルに誰がいつ承認をしたかを記録します。この方法で法的にも有効です。


他国では、クラウド契約はどのようにビジネスに取り入れられているのでしょうか。

クラウド契約の先進国はアメリカで、2000年前後からこの手のサービスが存在していました。従来、アメリカでは主に、サインした契約書をFAXする方法が取られていましたが、インターネットの普及により契約書をPDF化してメールで送り合うようになり、その後、クラウド上でPDFを承認するようになりました。利便性が格段に高まるため、自然な進化だと思います。


日本でのクラウド契約業界はどうですか?

当社は、2015年10月19日に国内初のクラウド契約サービスCloudSign(クラウドサイン)をリリースしました。リリースして8週間が経過しましたが、主に口コミ経由で広まり既に680社にご導入頂いています。契約締結件数も順調に伸びており、2016年1月には月に1万件を超える見込です。なお私たちのクラウドサインの発表後に数社が参入を発表しています。


業界が盛り上がりそうですね。クラウドで契約を結ぶメリットとは?

主なメリットは
・    契約の作成、締結のスピード化
・    コスト削減
・    契約情報のデジタル化
です。
まず、業務効率化の面をお話しすると、クラウド契約では、契約締結にあたってプリントアウト・製本・捺印・郵送などの煩雑な作業が不要になります。そのため従来、契約締結まで1~2週間かかっていたものが、クラウド契約では1分で終わります。
次にコスト削減でいいますと、直接的には郵送代や印紙代や印刷コスト、間接的には業務効率化によって人件費が削減できます。

最後に、情報のデジタル化によって、契約書の検索がいつでもどこからでも可能になり、気になる契約情報へのアクセス性が高まります。また、契約期限の事前通知機能(アラート機能)により、うっかり自動更新の心配も無くなります。


収入印紙は契約書に必要ないのですか?

はい。皆さん驚かれるのですが、クラウド契約では、収入印紙は必要ありません。これは、印紙税法にて印紙代の対象は課税文書とされており、現時点では電子データは課税文書にあたらないとされているためです。

大企業になると印紙代が年間1億円を超える会社も一般的です。それが適切に抑えられることもあり、さまざまな企業から引き合いをいただいています。


書面で締結したものをデータ化して保存することと、クラウド契約を利用することの違いは?


前者は最終的にデータ化するとしても契約締結にあたっては紙、印鑑、印紙や郵送のやりとりを行う必要があるので締結まで1〜2週間かかりますが、後者では電子的なやりとりだけで済むので早ければ1分で締結が完了します。


電子データの場合、改ざんなどが簡単にできてしまうリスクがあるのでは?

クラウド契約では、メール等で本人確認を行い、契約書ファイルに誰がいつ同意したかを電子署名の仕組みで書き込んでいます。ですので契約締結後にデータが改ざんされてもAcrobat  Readerというソフトウェアで開けばそれを検知することが可能です。

むしろ現在のテクノロジーを利用すれば印影の偽造の方が容易ということもあります。紙と印鑑もその昔は最先端のテクノロジーでしたが、現在は証拠をセキュアに残すのにより相応しいテクノロジーがあります。


どのような企業にとって、クラウド契約の導入のメリットがありますか?

契約書実務の流れは、どんな企業でも似たようなものですし、クラウド契約による業務効率化やコスト削減はどの企業でも実現可能です。新しいサービスを導入することに意欲的で、コスト削減や業務効率の意識が高い会社から、注目いただいている印象です。
印紙代の最適化が目的の企業からの引き合いもありますし、契約数が多い業界、例えば人材業界のお客様も多いですね。


導入におすすめのタイミングは?

特に時期的な面でのおすすめはないですが、同意してもらいやすい契約類型から徐々に使っていくと、いいかもしれません。
例えば、まずは雇用契約書やコンプライアンス宣誓書や秘密保持誓約書(NDA)など、社内の契約からご利用いただければ、手軽に業務効率化を実感しながら使用感を理解することができます。
次にグループ企業内での金銭消費貸借契約や委託会社との業務委託契約で使っていただき、最後にクライアントとの契約で利用するのがスムーズかと思います。


先日リリースされたCloudSign(クラウドサイン)の使い方について教えてください。

まず、事前に内容についてお互いの合意が済んでいる契約書・発注書などの契約書ファイルをアップロードします。
次 に取引先のメールアドレスを指定して送信すると、宛先に契約内容の確認依頼メールが届きます。メール中には契約書ファイルのURLが記載されていますが、 これが受信者のみが閲覧可能なユニークURLになっており、これをクリックすることで本人認証が成立します。取引先が契約書を確認し、「書類の内容に同 意」というボタンを押すと、契約書ファイルに対して相互同意がなされたことを示す電子署名が施されます。
契約締結が完了すれば受信者にも電子署名 済の契約書ファイルが届きますので、取引先にクラウドサインの利用者になっていただく必要はありません。契約時にクラウドサインに触っていただくことには なりますが「同意」というボタンを押すだけですので、わかりやすく、簡単にサインいただけます。
送信者はもちろんのこと、受信者もユーザー登録をすれば過去に締結した契約書の管理も、クラウドサイン上で行うことができます。


クラウドサインの今後の展望を教えてください。

クラウドサインのビジョンは、”クラウドで契約を簡単に”です。現状のサービスで実現しているのは「契約締結、管理のクラウド化」ですが、今後、契約作成を含む、契約行為全般を、最先端のテクノロジーで変えていきたいと考えています。

当 社が別途運営する「弁護士ドットコム」は9,000名を超える弁護士にご登録頂いているのですが、先生方の協力の元、契約書作成、契約条件の交渉やリーガ ルチェックがウェブ上で行えるサービス・機能などを検討しています。また将来的には「契約書の標準化」にも取り組みたいと思っています。現在は自然文で書 かれている契約書ですが、会計データのXBRLのように構造や文章を標準化することでDB管理やコンピュータでの読み取りが出来るようになり、管理の利便 性が飛躍的に向上します。

現在のクラウドサインは、それら契約関連の様々なサービス・機能を広めるベースとしての役割が期待されます。 元々「契約締結」には「送信者が受信者にサービスを紹介する」性質がありますし、さらに月30件まで契約ができるFreeプラン(無料)もご用意して利用 のハードルを下げています。単体で事業化するだけでなく、企業向けのリーガルサービスの橋頭堡になれたらと思います。


弁護士ドットコム株式会社 CloudSign事業部 プロダクトマネージャー 岡本薫
早稲田大学第一文学部卒。
株式会社カカクコムで広告営業に従事した後、弁護士ドットコム株式会社に参画。新規事業の立ち上げ、事業提携、マーケティングに携わる。
2014年10月からクラウド契約サービス事業化の検討を開始し、現在に至る。

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