とりあえず入れてはいるけれど、Google Analyticsは機能も豊富で、何をどう見たらいいのかわからず、ページビュー(PV)やユニークユーザー(UU)などの基本的な指標を見るだけに留まっているケースが多いのではないでしょうか。
そこで、Google Analyticsのデータを元にわかりやすいレポートを出力してくれるKOBITというサービスを提供している株式会社クリエイターズネクストの代表取締役 窪田さんにWeb解析についてお話を伺いました。

まず初めに、Web解析について簡単に教えて下さい。
Web解析は、まずサイトのアクセス情報を集計・加工し、そこから課題を抽出して、改善施策を実行していくという流れになりますが、これについて、少し前に調査してみたところ、非常に興味深い結果が出ましたので、まずはそれを紹介したいと思います。Web解析がどの程度行われているのかを調査した結果、「Google Analyticsのタグをとりあえず貼っている」という人は非常に多いです。ただ、多くの場合、ページビュー・ユニークユーザー・直帰率・滞在時間などのメジャーな指標は見ているものの、その把握だけで終わっているケースが多いという結果でした。
この調査は、アナリティクスをよく使っている集団を対象にアンケートを実施したものなのですが、それでも集計・加工までやっているのは約30%、そこから課題を抽出できているのは20%を切っています。さらに、改善施策を実行できているのは9%しかありません。
データを分析する人と、その改善を実行する人(デザイナやエンジニア)が分かれているケースが多く、毎月改善を実行できていないというのが現状のようです。
たしかに「Google Analyticsで何を見たら良いかわからない」というのはよく聞きます
そうですね。「具体的に何をすればいいのか」がわからず、とりあえず本を買ってみたりする方が多いのですが、分析において考えなければいけないことはものすごく膨大で、たとえば、Google Analyticsをすべて理解しようとするとものすごく大変です。
試しに、Google Analyticsの使い方をすべて文章にまとめてみたところ、140ページくらいになってしまいました。それほど多くの機能があるということになります。
しかし、担当者の本業はこのツールを使いこなすことではなく、何をしていくべきかを考え実行していくことです。
「分析」はある程度機械が代行できる部分ですが、Google Analyticsは「大量のローデータの海」であって、結局何を見たら良いのかわからなくなってしまいがちです。
そこで、制作会社さんなどが、月次でクライアント向けにレポートを作成し説明していることが多いのですが、このレポートの制作が非常に手間で、かつ、毎月同じクオリティーのレポートを提出する必要があります。そこで、弊社ではPowerPointのレポートを自動的に生成するKOBITというサービスを開発して提供しています。
なるほど、全部を見ていくというのは難しいということですね。まずはどういったポイントに気をつけていけばよいでしょうか。
Web解析における改善のポイントは、大きく3つあると考えています。1つ目は、「大きな塊」を見つけてそこから改善していくことです。大きな塊ほど改善した場合の効果は大きいので、まずはそこから入っていきます。逆に小さい塊をいくら改善しても、ほとんど効果は得られません。
2つ目は、「違和感のある数字」を見つけることです。たとえば、「コンバージョン率(CVR)が1%以下」や「直帰率が40%以上」など基準よりも数字が悪いものを見つけてそこを改善していきます。
3つ目は、「ペルソナ(ターゲットとなる人)を決めてその人視点で改善をしていく」ことです。
解析をして改善を繰り返していると、「何のための改善か」わからなくなってきてしまうことがあります。
実は改善の施策は7〜8割は失敗します。そのため、失敗が続いていると、「誰のために何を改善しようとしているのか」がぶれてしまい、自分たちの主観や上司の意見で決まってしまうことがあります。要するに、自分視点の改善であって、欲しい人視点の改善ではなくなってしまうというのは、現場ではよく起こります。
そこで、「20代男性」のような漠然としたターゲット設定ではなく、「○○さん」という形でターゲットに名前をつけることで、ペルソナを明確にします。
CVRなどはコンテンツによって大きく異なるのではないかと思います。そのため一概には判断できないように思うのですが、そういう問題はどうすればよいでしょうか。
SEOのキーワードを考える際、Information WordとAction Wordという概念があります。たとえば美容室の例で考えてみましょう。「渋谷 格安 美容室」というキーワードの場合、「すぐに髪を切りたい」と考えて検索している可能性が高く、これをAction Wordと呼びます。一方、「流行 髪型」というキーワードの場合、すぐに髪の毛を切りたいのではなく単に流行を調べている可能性が高く、これをInformation Wordと呼びます。
それぞれ目的が違うので、当然目指すゴールも異なります。たとえば、Action Wordで検索している人に対してはクーポンが効果的で、クーポンのダウンロードに誘導することで一定の確率で来店に繋がります。しかし、Information Wordで検索している人に対してクーポンを出しても、今のニーズとは合っていないためあまり効果がありません。たとえば、「流行の髪型2016」のPDF無料ダウンロードという方が刺さると思います。
そのため、すべてにおいて「クーポンダウンロード」をゴールにしてしまうと、全体としてのCVRは下がってしまいます。そこで、それぞれに合ったゴールを用意するのが良いです。
たとえば、Action Wordで検索している人には「クーポンダウンロード」をゴールとし、Information Wordで検索している人には「流行の髪型2016のPDFダウンロード」をゴールとし、氏名とメールアドレスを登録してもらい、後からステップメールなどで流行の髪型の情報などを送り、将来的な来店へ誘導するようにします。
このようにコンテンツにあったゴール設定をするのが良いでしょう。
(後編へ)
株式会社クリエーターズネクスト
KOBIT

株式会社クリエイターズネクスト 代表取締役 窪田望
株式会社クリエイターズネクスト創業者。アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業。上級Web解析士。19で起業し、創業して10周年。省庁やメーカー、介護医療業界不動産分野でのSEO対策コンサルティングを担当。SEO対策・Web解析を担当し、売上増大、費用削減面での成果をあげる。はじめてWebサイトを作ったのは中学生の時。介護の口コミサイト「老人ホームマップ」を3年で業界No.1の会員数にすることに成功。20代の牽引する成長企業100に選出。
株式会社クリエイターズネクスト創業者。アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業。上級Web解析士。19で起業し、創業して10周年。省庁やメーカー、介護医療業界不動産分野でのSEO対策コンサルティングを担当。SEO対策・Web解析を担当し、売上増大、費用削減面での成果をあげる。はじめてWebサイトを作ったのは中学生の時。介護の口コミサイト「老人ホームマップ」を3年で業界No.1の会員数にすることに成功。20代の牽引する成長企業100に選出。