第1回:エクセルテンプレートを使った請求書作成・売上管理から卒業しよう!〜エクセル請求書の課題

 

見積書や請求書をエクセルで作成している方は多いのではないでしょうか。

自社用のエクセルテンプレートを作成しておくと、それをベースに明細や金額を入力していくだけなので、ある程度簡単に請求書を作成できるようになります。とくに、起業・独立をした直後などは、請求書の枚数も少ないので、エクセルで十分なケースも多いと思います。

しかし、事業の拡大とともに、エクセルでの請求書作成・管理には限界がきてしまいます。

また、数が少ないうちでも、抜け漏れやミスが生じやすく、売上管理を手動で行う必要もあるため、けっして効率的な方法とは言えません。何より、こうした売上に直接結びつかない作業に労力を使うことはとてもストレスです。

この記事では、こうしたエクセル管理の課題を詳しく見ていきたいと思います。

 

エクセル請求書の "あるある" な課題やトラブル

数式が間違っていた・消えていた

エクセルの請求書では、「数量 x 単価」や「合計金額」などを数式やセルのリンクで表示していることが多いと思います。しかし、この方法では数式やリンクを誤操作で消してしまったり、合計の範囲を間違えてしまったりといったミスが発生する可能性があり、もしそれに気づかなければ、合計金額が少ないまま請求書を提出してしまうことにもなりえます。

そういった間違いは、お客様に不信感を抱かせてしまうだけでなく、社内の上司や経理の手を煩わせることにもつながります。

このような状況への対策として、ただ「気をつける」というだけでは足りません。ミスの直後は気をつけていたとしても、慣れてくればまた元に戻ってしまうのが人間です。つまり、なるべくミスをしにくい仕組みにすることこそが重要なのです。

社員によってレイアウトが変わってしまう

エクセルによる請求書を複数人で使用する場合、最初は同じテンプレートを使っていたはずなのに、いつの間にか人によってレイアウトが変わってしまっている、ということがよくあります。エクセルは簡単にレイアウトを変更できるので、自分でも意識しないうちに変更してしまっているということもあるでしょう。

作成者によって請求書のレイアウトが異なるということは、会社として好ましい状況とは言えません。しかし、エクセルを使用する以上は、こうした状況を避けることは難しいでしょう。

提出した見積書のデータが社内に共有されない

営業がエクセルで見積書を作成した後、経理に共有しなかったせいで、請求直前になってから経理がその存在を知るという話もよく聞きます。

営業の立場としては、見積書を提出して、案件を受注すればひと仕事終わった気分になるかもしれません。しかし、その情報が経理に共有されなければ、請求の段階で慌てて処理を行うことになりますし、最悪の場合には請求漏れにもつながります。

1つ1つファイルを開いて印刷・封入するコストが大きい

エクセルで請求書を作成する場合、請求書ごとに別ファイルを作ることになると思います。そのため、たとえば月末に10枚の請求書を出力する際には、異なるファイルを10回開いて、その都度印刷ボタンを押していくことになります。

数枚であれば大したことはないですが、10枚、20枚と増えるにしたがって、作業量は膨大に増えていきます。

また、封筒の宛名・送付状・請求書を印刷して、それらの組み合わせが間違っていないか確認しながら封筒に入れていくという作業は、多くの時間と集中力を費やすものです。

検索が大変

エクセルのファイル名に顧客名や案件名を入れておけば、ある程度は希望の請求書を探しやすくなるかもしれません。しかし、この方法では

  • 今月請求分の請求書を検索したい
  • 未請求の分だけ検索したい

といった、請求書の内容や状態で検索することができないため、それを実現するには、適切なフォルダ分けをした上で、その中にファイルを作成するなどの地道な管理が必要です。

また、ビジネスは継続して行う前提であるため、以下のような要件も発生するかもしれません。

  • 過去に提出した類似案件の見積書を参考にしたい
  • お客さんから過去の案件について問い合わせが来たので、当時の内容を確認したい

しかし、エクセルで見積書や請求書を作成している場合、こうしたファイルの中身を検索することは難しいため、その作業には少なからぬコストが費やされてしまいます。

売上金額の集計や見積中の見込み案件・金額の把握ができない

経営者や管理者からすると、この問題は深刻です。

「請求書を作成する」ということだけを考えれば、エクセルでも要件は満たせます。しかし会社を経営する上では、書類の作成だけでなく、売上の集計や分析なども必要になってきます。

エクセルで作成した請求書は、あくまでもPDFを生成したり、印刷したりするためのものであって、他の用途に活用できる「データ」ではありません。せっかく作成しても、そこから自動的に集計することはできず、売上の集計のためには別途一覧などを作成する必要があります。しかもその際には、金額を手動で転記する必要があるため、転記ミスや、金額が変更になったときにどちらかのファイルを更新し忘れるなどの問題が発生する可能性があります。

 

請求書発行や入金などのステータス管理の必要性

請求業務とは、請求書を発行するだけのものではありません。

請求書を発行したかどうか、あるいは最終的に入金されたかどうかを管理する必要もあります。

しかし、こうした管理の不備による問題はよく起こります。悪意を持って支払わないというケースは少ないかもしれませんが、「担当者が経理に請求書を渡していなかった」とか「請求書が2枚あったのに1枚分しか振り込まれていなかった」といったミスは十分にありえます。

そのため、請求業務ではきちんと回収するところまでを合わせて考えなければいけません。

そのような場合、エクセルではこうした総合的な管理を行うことが難しいため、前述のとおり、請求書とは別に一覧を作成し、請求済・入金済などのステータスを管理することになると思いますが、それでは請求書とステータス管理用の一覧でエクセルが分かれてしまうため、請求日や金額が変わった場合に二重に修正する必要が生じ、新たなミスが入り込む要因になってしまいます。

 

心理的ストレス

意外と見落としがちなのは、エクセルで請求書を作成する際の心理的ストレスです。

ここまで書いてきたように、エクセル請求書の場合は、二重管理をはじめとするミスの発生要因がいくつも存在するため、以下のような不安が生まれます。

  • 数式やリンクの間違いで、計算結果が間違っているのではないか?
  • 発行し忘れている請求書があるのではないか?
  • 封筒の宛名と中に入れた書類の組み合わせが間違っているのではないか?
  • 請求書は発行したが、売掛金が回収できていないのではないか?

これでは作業に時間がかかるだけでなく、常に不安につきまとわれ、精神衛生上も良くありません。

本来の仕事に集中するためにも、こうした不安の要素を減らすことが重要です。

 

請求書作成ソフトを検討する

これらの問題を解決するために、請求書作成ソフトを利用するという方法があります。

  • 請求書作成ソフトとはどういうものか
  • エクセルと比べてどういうメリットがあるのか、またどういう制約があるのか
  • よくある不安や懸念事項
を「第2回:初めての請求書作成ソフトの導入」にまとめましたので、ぜひ続きもご覧ください。

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