事例のポイント
- 見積管理ができるようになったことで見積もり依頼への対応にかかる時間を半分以下に短縮
- 売上分析ができるようになり利益率の高い事業を特定。営業を強化したことで粗利率40%UP
課題
- 見積書の作成に時間を要してしまい、機会損失につながっていた
- 原価管理のために必要な発注を管理できていなかった
- 受注後に現場で必要な図面やスケジュールなどの情報が整理できていなかった
対策
- 自社独自の案件管理システム(図面やスケジュールの管理)を開発
- 帳票作成のために販売管理システムを導入
効果
- 見積もり依頼から提出までに要する時間を半分以下に短縮し、新たな顧客を獲得
- 売上を事業別に分析できるようになり、営業に注力した結果、1事業の粗利率が40%UP
- 管理業務のDXを実現
株式会社サーフ・エンジニアリング は、旋盤加工やインフラ用ガス管に関連する金属製品の製造・施工・点検を行っている、2004年に設立されたものづくりの会社です。
boardを2021年に導入していただき、3年以上ご利用いただいています。board導入の背景や導入後の変化について、根本優馬様、塚田美穂様にお話を伺いました。
アナログだった管理業務をDX
boardを導入する前の状況について教えてください
根本様:
私は2019年4月に入社しましたが、入社してすぐに当社の受発注業務にいくつかの課題があることに気づきました。
その1つは、お客様から見積もりをご依頼いただいてから提出するまでに1〜2週間かかっていたことです。
この原因は、主に以前作成した見積書を一元管理できていなかったことでした。見積もりのご依頼を受けたら、まず過去の見積書を探して、見つからなければ原価や利益を考慮しながら最初から見積もりをするという状態でした。
また、受注後の案件管理にも問題がありました。案件によっては当社から外部の業者に部材の仕入れなどを発注することもあるのですが、発注した記録が残されておらず、発注したことを翌月に請求書を受け取って初めて知るようなこともありました。
スケジュール管理は担当者の記憶に頼っていたので、新しいご依頼を相談されたときも毎回受注できるかどうか現場に確認する必要があり、本当は受けられたかもしれない案件を断ってしまっていたこともありました。
当社の技術はお客様からご高評をいただいていますが、書類のやりとりやスケジュールについてはご迷惑をかけてしまうことがあったので、案件管理や見積書・請求書などの販売管理をしっかり行うことが最優先の課題だと考えました。
根本優馬様
どのようなところから対策を始めたのですか?
根本様:
当社の課題について社長と相談し、アナログな管理をやめて管理業務のDXを進めることになりました。
まずはExcelを使うことを考えましたが、Excelのファイルやシートが膨大になり、すぐに管理しきれなくなると考えました。
次に、会計ソフトの付属ツールをいくつか検討しましたが、当社のようなオンデマンド型製造業には合わず、断念しました。
そして既成のシステムでは当社の業態に合わないのかもしれないと考えて、プログラミング不要でいろいろなことができるというノーコードツールを試してみることにしました。
そこで1ヵ月のトライアル期間中に自分で販売管理の仕組みを作ってみたのですが、当社の業務で毎日使い続けられるような画面にはできなかったことや、本契約時には毎月15万円くらいかかることがわかったため、断念しました。
しかしここまでの試行錯誤を経たことで、当社としてどのようなシステムが必要なのか具体的にイメージできるようになってきました。
当社の課題のうち、受注後に現場で必要になる図面やスケジュールなどの管理は独自性が高く、また優先度が高い課題だったので、既成のシステムを探すのではなく、自社でシステムを独自に開発することにしました。この際、現場では図面や依頼内容の紙をまとめたクリアファイルが重要なことから、「クリアファイルの電子化」をコンセプトに掲げて、受注した案件に関する図面やメールなどさまざまな情報を一元管理し、紙に印刷することも考慮したシステムを開発しました。
このシステムで、受注した案件を製造現場でスムーズに管理ができるようになりました。その一方で、帳票作成を自社システムに追加するのは難しかったので、見積書や請求書をどのように管理すれば良いか検討していたときにboardと出会いました。
boardを導入する決め手になったのはどのような点でしたか?
根本様:
いろいろあるのですが、まず案件ごとに受発注を管理できて、案件の原価をすぐ見られること、また請求書や発注書を簡単に作れることなど、当社が実現したいことを全部できるということがありました。
そして料金がとても安いことも大きかったです。仮にシステムを導入せずに人を雇った場合、月5~6万円ぐらいになると考えていました。それぐらいの予算に収まるシステムを探していたので、boardは桁違いの安さでした。
その上で、最終的には事務の塚田さんの言葉が決め手になりました。
塚田様:
私が実際に使ってみて、「これなら行けそうです」と伝えたことが最終判断につながったと聞きました。どのような機能があるかということより、使いやすそうなところが良いと思いました。
塚田美穂様
根本様:
先述のノーコードツールで使い勝手の良い画面にならずに断念したこともあり、「毎日使う人にとって使いやすいシステムかどうか」がとても重要なことだと思っていました。今回は塚田さんが問題なく使えると言ってくれたので、boardに決めました。
boardの導入時に苦労した点はありましたか?
塚田様:
初めのうちは、自社システムとboardの間で案件を紐づけることに少し苦労しました。案件を両方のシステムに登録していく際、それぞれのデータをうまく紐づけられず毎回混乱していたのですが、boardの案件に自動的に割り当てられる「案件No」を自社システムに反映することで解決しました。
根本様:
当社のDXは「同じ文字を二度入力しない」というコンセプトなので、その意味でも良い解決策だったと思います。
中小企業のDXの第一歩にはboardがお勧め
boardの導入によって課題は解決しましたか?
根本様:
はい、boardによってアナログだった販売管理は大きく変化し、業績にも良い影響がありました。
まず、見積書の作成にかかる時間を半分以下にまで短縮できました。board上にある過去の見積書を使って新しい見積もりを作れるようになったので、過去の見積書を探したり、悩んだりする時間を大幅に減らすことができました。おかげで新規のお問い合わせにもスムーズに対応でき、機会損失を防げるようになりました。
とくにWebサイト経由の新規のお問い合わせでは、当社でなければ対応できないようなご相談が増えていることから、お客様を待たせずに回答できるようになり、とても喜ばれています。
また、boardで案件の原価と粗利をいつでも見られるようになったことで、利益率も上げることができました。
以前は「旋盤加工事業」「ガス事業」という大きな分類でしか売上を分析できなかったのですが、boardではもっと細かい分類で事業を分析できるので詳しく確認してみたところ、ある事業の利益率が高いことがわかりました。そこで翌年度にその事業の提案を積極的に行った結果、昨年比で粗利が40%増加しました。
boardのお気に入りの機能があれば教えてください
根本様:
当社の顧問税理士が会計ソフトをfreee会計からMFクラウド会計に切り替えたのですが、boardは両方に対応していたので助かりました。MFクラウド会計用にCSVを出力し、ファイルを税理士に送るだけで良いので手間がかかりません。
また、boardとGoogleドライブが連携したときは感激しました。それまでは手作業でファイルをGoogleドライブにアップロードしていたのですが、boardからGoogleドライブへ自動的にファイルを保存できるようになったので、手間が激減しました。
boardのお勧めポイントを教えてください
根本様:
いろいろな魅力があるので1つに絞るのは難しいのですが、「現場の感覚に近い数字」をいつでも見られるということを挙げたいと思います。
自社の売上や利益率を把握するだけであれば、税理士に相談したり、会計ソフトを利用するという選択肢もありますが、それでは現場の機微まで把握することはできません。
boardを使い続けることで、ビジネス思考を強化されるような感覚もあり、中小企業のDXの第一歩にはboardをお勧めします。
塚田様:
私は事務の経験がない状態で入社して、それまで事務ソフトに触ったこともなかったのですが、今はboardを日々活用しています。普段、ITの分野は疎遠だと感じている方でも簡単に使いこなせるシステムだと思います。