
事例のポイント
- スプレッドシートで案件を管理することから脱却
- boardに情報を集約したことで、案件や書類をまとめて管理可能に
- 普段の業務をするだけで請求漏れがゼロなり、会社の経営状態をいつでも把握可能に
課題
- 請求書発行ツールでは見積書や請求書と案件を紐付けて管理できず、請求漏れが発生していた
- 案件の管理をスプレッドシートで行うことに限界
- 売上見込みや粗利、案件の状況をいつでも簡単に確認したい
対策
- 案件に紐付けて書類作成、売上管理、請求管理ができるシステムの導入
効果
- 案件に関する情報をboardに集約し、最新の状況や収支をいつでも確認可能に
- 案件をboardで管理するだけで、請求漏れがゼロに
- 売上予測や分析データを経営判断に活用

illo(アイロ)合同会社新しいタブで開くは、地方に特化して、企業や自治体のクリエイティブ戦略を企画から制作まで請け負う会社です。長崎県の対馬に拠点を置き、ギルド型の組織としてプロジェクトごとに外部の専門家とチームを構成し、Webデザインや記事コンテンツ制作などのデジタル施策、商品デザインから地域の魅力をアピールするイベントの企画・運営まで、幅広い事業を展開しています。
2021年にboardを導入していただき、現在まで4年間ご利用いただいています。boardを導入した背景や現在の使い方などについて、代表社員でクリエイティブディレクターの小宮大輔様にお話を伺いました。
案件管理と書類作成の紐付けに試行錯誤。直感的なUIのboardに出会い、課題を解決
boardを導入する前は、どのような課題を抱えていたのでしょうか
弊社では、年間数十件ほどの案件が動いているのですが、以前はこれをスプレッドシートで管理していました。ただ、スプレッドシートで管理をすると、精度の高い情報を扱うためには関数やある程度の作り込みが必要になるので、業務の本質ではないところで時間が奪われていきます。そういう状況に抵抗を感じるうちに、使わなくなってしまいました。
見積書や請求書を作る際には、無料の請求書発行ツールをいくつか使っていました。書類の作成だけなら手軽にできるので、その点では良かったのですが、案件との紐付けができないことが課題でした。業務上、書類は必ずどこかのタイミングで作る必要がありますが、そのときに案件は別で管理しているので、それが紐付いていないことが気持ち悪いというか、効率が悪いなと思っていました。「書類と案件を一緒に管理できたら、もっと楽になるのになあ」と。
boardをどのように知りましたか?
X(旧Twitter)で、マネジメント関連の情報を発信している知人が、boardを話題にしていたんです。それ自体はとくにboardを勧めていたわけでもなくて、ただ「今これを使っている」というぐらいの話だったのですが、逆に「どういうサービスなんだろう?」と興味を惹かれました。
それで、boardの公式サイトを見に行ったら、自分が普段感じているような課題がいろいろ取り上げられていて、「たしかに、これが課題なんだよな……」と共感する部分が多くて。私は普段からいろんなツールを試すのが好きなので、じゃあ一度使ってみようと思ったのが最初のきっかけです。
boardを導入する決め手になったのはどのような点でしたか?
当時どこまで意識していたかは覚えていないのですが、やはり「使いやすい」と思ったのは大きいと思います。boardの画面って、派手さはないですけど、UIがシンプルなので、何がどこにあるかわかりやすいですよね。その一つひとつの機能が、ちょうど自分が「こうあってほしい」と思うとおりに動いてくれる。たとえば、案件を登録したら、その中に見積書や請求書など必要な書類が全部紐付いた状態で発行できるようになっていて、これは嬉しかったです。
あとは案件が今どういう状態にあるのか、見積中なのか、確定したのか、失注したのか。あるいは今動いている案件の合計はいくらで、そのステータスごとの売上予測はどのぐらいなのか。先ほどお話ししたように、常に複数の案件が動いているので、そういう個別の案件や売上の合計などをサクッとひと目で把握できるなら、月額料金を払ってでも導入したいなと思いました。
boardの導入時に苦労した点はありましたか?
何か苦労したことがあったかなと考えたのですが、とくにないんですよね(笑)。「使いやすいな」と思った記憶ぐらいしかなくて。もし導入のタイミングで、以前の案件を移行していたら大変だったかもしれないのですが、うちは過去の案件はそのままにして、boardには新しい案件をどんどん追加していくようにしました。
過去の実績をboardに入れて、前年と比較したいというケースもあると思うのですが、私の感覚では、boardはあまり精密に数字を比較したりするような使い方ではなくて、大体のことを把握できればいいと思っているんです。もちろん、これは企業の規模や方針によって変わってくると思うので、そのやり方が正しいという意味ではないのですが、弊社ぐらいの規模であれば、新しい案件から登録していくので十分かなと思っています。
ひとつの案件にすべての情報を集約。請求漏れの防止や売上予測に基づく経営判断を無理なく実現
boardの導入によって課題は解決しましたか?
はい。元々の課題は、「案件と書類を紐付けて管理したい」といったものですが、実際には書類と案件だけでなく、パートナーへの発注や、案件にかかる固定費や変動費なども全部boardに登録しているので、boardを見れば、その案件にどんなメンバーが関わっていて、粗利がどの程度で、といったこともパパッと把握できます。
ひとつの案件にすべての情報が集約されていくので、今までに比べていろんな情報を確認するための時間も大幅に削減されました。
それから、請求関連の情報をいつも「請求一覧」画面で確認しているので、請求漏れがなくなりました。以前は、請求が必要なものはタスク管理ツールに入れていたのですが、漏れなく登録するのがなかなか難しくて、請求が遅れてしまうこともありました。
今は「案件は必ずboardに登録する」と決めているので、請求の対象は必ず請求一覧に入ってきますし、「未請求」ステータスの請求データは背景が赤く表示されるので、見落とす心配もありません。いつも「赤いやつは注意しないと……」と思いながらチェックしています。
boardの現在の使い方を教えてください
基本的には、新しい案件が始まったらboardに登録して、関連する発注や経費なども一緒に登録していきます。そうすると、登録した情報を元に売上や粗利などが自動的に計算されるので、それを見て現状を把握するというルーティンです。ただ、導入のところでもお話ししたように、boardではあんまり厳密な数字を管理する前提ではなくて、正確な数字は会計連携機能で会計ソフトに連携して、そちらで税理士と管理しています。
じつは以前、オールインワンの多機能なプロジェクト管理ツールを使っていたこともあるのですが、手をかければかけるほど情報を網羅できるので、ついこだわりすぎて、必要以上に時間をかけて管理していました。結局、それは使うのをやめてしまったのですが、ツールの選定では「本当にその機能が必要なのか」「もっと削ぎ落としても成立するんじゃないか」という観点が大事だと実感しました。
boardでも、何から何までまとめて管理するのではなく、正確な数字は税理士と会計ソフトで見る。代わりに、日々の大まかな数字や、案件のステータス管理をboardに担ってもらう。その中で、自然に売上予測も見えてくるので、「今期はもうちょっと案件を取りたいな」とか、「今期はけっこう順調だから、自社のことを少しやろうかな」とか、そういう判断もしやすくなったと思います。
boardのお気に入りの機能があれば教えてください
毎月の請求書を自動的に作ってくれる「定期請求」とか、見積書を複数パターン作成できる「ブランチ機能」が良いなと思います。どちらも同じ案件の中で、複数の書類を簡単に作れますが、Excelで同じようなことをやろうとすると、「どれが最新だっけ?」とすぐに混乱してしまいます。boardを使ってからは、そういった混乱が起きたことはありません。
使い始めの頃から良いなと思っていたのは、「損益レポート」です。案件や原価、固定費などの経費を登録しておくだけで、会社全体の収支が反映されます。ちょうど見たいと思っていた情報が、見たい粒度でそのまま見られるので驚きました。ブランチ機能などもそうですが、ユーザーが何を求めているのか、本当によくわかっているなと思います。ヴェルクさんは元々受託開発を中心に事業を行われていたということなので、その知見がboardに詰まっているのかなと。
あとは個別の機能ではないですが、役立っているのは検索の絞り込み、フィルタリングですね。Excelで情報を絞り込もうとすると、基本的にはソートとか、列ごとに操作するイメージになると思うのですが、boardは「案件名」とか「顧客」とか「請求期間」のように複数の条件で絞り込めて、AND検索もOR検索もできるので、けっこう複雑な条件でも見たいものが簡単に見られます。
boardのお勧めポイントを教えてください
あまりにも馴染んでしまっているので、あらためてどこがお勧めかと聞かれると、なかなか難しいですね……。「なくちゃ困るツール」ということは言えるのですが。
でも、実際に周りには勧めてるんですよ。地方に特化したマーケターとか、弊社と同じぐらいの規模で会社をやっている人が多いので、彼らから相談を受けたらboardを紹介しています。boardは難しいことを考えなくても使えるし、シンプルだけど欲しい情報はすべて網羅されているので。やっぱり、毎日使うツールはシンプルであるほど良いと思うんです。複雑なシステムでも、それを使いこなせるリソースがあれば良いと思うのですが、弊社ぐらいの規模だとそこには時間を割けないので。中小規模で、クライアントワークをしている会社は全部boardを使った方が良いっていうぐらいに思います。
あと、今話していて思い出しましたが、「安心して使える」というのもありますね。何かの記事で、ヴェルク代表の田向さんが「boardは売らない」と言っていたんですね。会社がなくならない限りは、サービスを続けると。今はユーザー数が何百万人もいるようなサービスでも、買収されたり終了してしまったりするので、そういう心配をしないで済むのも良いし、その理念も好きだなって。つまり、作り手がどれだけ誠実に、愛を持って自社サービスに向き合っているのか。そして、どれだけ継続性があるのか。サービスを選ぶときにはいろいろな検討要素があると思いますが、私はそういう面でもboardをお勧めできると思っています。