弁護士の報酬体系の1つに「タイムチャージ制」があります。案件ごとの稼働時間に応じて報酬を請求するタイムチャージ制では、日々の稼働時間を正確に記録・集計し、請求書を作成するという一連の作業が煩雑になりがちです。受任している案件数や弁護士の人数が増えれば、毎月の請求作業にも大きな工数が発生します。
- 事務スタッフを雇ってはいるが、人手による処理に限界を感じている
 - ITツールを導入して効率化したいが、何から手をつけていいかわからない
 
このような課題を抱える弁護士の方は少なくないのではないでしょうか。
そんな悩みを解決するのが、法律事務所向けの請求管理システム「Bill」 です。Billはboardを始めとする各種ツールと連携し、さまざまな機能を通して請求業務を効率化します。
本記事では、Billとはどのようなツールなのか、Billを活用することでどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
Billとは
Billは、合同会社LEACT新しいタブで開くが開発・提供する、法律事務所向けの請求管理システムです。その特長は、4つのSaaSを連携し、法律事務所の請求業務に最適化した仕組みを構築している点にあります。
- Airtable:データベースとしてクライアントや案件の基本情報、弁護士の時間単価などを一元管理し、各ツール間でデータを連携
 - Toggl Track:弁護士の日々の稼働時間を記録するタイムシートとして活用
 - board:Toggle Trackでカウントされた稼働時間と、Airtableで管理されている情報(時間単価等)を元に、請求書を作成・発行
 - Googleドライブ:案件ごとに権限設定されたファイルを保存・管理
 
Billの前身は、LEACTが自らの業務を効率化するために開発した社内システムでした。
「以前は、請求書作成などの事務作業は派遣の事務スタッフにお願いしていたのですが、受任件数が増えるにつれて、ミスによる手戻りやチェックの工数が増加し、人手による請求書作成に限界を感じるようになりました。そこで、エンジニアに相談して、自分たちのために開発したのがBillの元になるシステムです。できあがったシステムのことを外部で話したところ、『うちでもぜひ使いたい』という声をいただき、他の事務所でも使えるように汎用化してBillが生まれました」(法律事務所LEACT 代表 弁護士 酒井貴徳氏)
法律事務所の請求業務における課題
法律事務所の請求業務では、以下のような課題が発生します。
- タイムシート管理の煩雑さ:弁護士が記録したそれぞれの稼働時間を、表計算ソフト等で集計する際に入力や転記のミスが発生しやすい
 - 請求書作成の工数の多さ:案件ごとの契約条件(契約期間、時間単価、稼働保証など)に応じて請求額の計算が複雑になるため、手間や時間がかかる
 
ある法律事務所では、毎月の請求業務に大きな工数がかかり、本来は月の初め頃にクライアントへ送付すべき請求書を、月の終わり頃にようやく発送するような状況になっていました。
Bill導入の効果
Billは、boardをシステムの中核機能の1つとして組み込み、弁護士が日々の稼働時間を記録するだけで、請求書の作成・送付までスムーズに行えるという効率的なワークフローを実現しました。
- 稼働時間の記録:弁護士がToggl Trackで担当案件の稼働時間を記録する
 - 請求情報の連携:稼働時間がboardの各案件の請求書に連携される
 - 請求書の作成・送付:Airtableに登録されている弁護士の時間単価と、Toggl Trackに記録された稼働時間を元に、タイムチャージの請求書が自動生成される。その後、boardから顧問先へ送付
 
*上記は、boardが公開しているAPIを利用してBill側で実装されている仕組みです。
これにより、請求書の作成にかかる作業が自動化され、手作業による転記ミスや計算ミスがなくなり、請求業務にかかる時間を大幅に短縮することができました。
先ほどの法律事務所では、Billの導入により、従来は1ヶ月近くかかっていた毎月の請求作業が1日で完了するようになりました。
Billにおけるboardの位置づけ
「実際の取引で重要なのは、『いつ、だれが、いくらを、どれぐらい、どのタイミングで支払うか』という経済条件の管理です。boardは経済条件を管理する機能が非常に優れています」(酒井氏)
Billでは、たとえばboardに登録された契約期間と、Toggl Trackに記録された弁護士の稼働記録を突き合わせることで、「契約が終了した案件に稼働時間が記録される」といった不整合を自動で検知し、アラートを出す機能があります。このような機能により、法律事務所特有の請求業務に対応しています。
「海外製のツールと比べ、国産のツールはAPIにあまり重点を置いていないものが多いのですが、boardはAPIが非常に優れており、かつ安定稼働しています。 また、boardは標準機能でクラウド会計ソフトと連携しています。請求管理から会計へのつなぎ込みをboard側にお任せできるので、システム開発の面ではありがたいです」(法律事務所LEACT エンジニア 三内 亘氏)
テクノロジーで時間の「密度」を高め、クライアントへの提供価値を最大化する
「弁護士の仕事は、人の手を動かして時間を切り売りするような、職人的なビジネスになりがちです。だからこそ、テクノロジーを事業の根幹に据えて、同じ時間の中で弁護士が最大限に能力を発揮できる環境を整えることが重要だと考えています。Billはその思想を実現するためのシステムです」(酒井氏)
一般的には、受任件数が増加すれば、それに比例してバックオフィスのコストも増加します。これに対して、酒井氏は「ミニマムなバックオフィスを維持しながら、組織を拡張していくためのシステムとしてBillを活用していきたい」と語ります。
人手不足が深刻化し、業務の複雑性が増す現代において、Billは法律事務所が抱える請求業務の課題を解決し、弁護士が本来注力すべき業務に集中できる環境を提供します。
Billは、Webサイトからお問い合わせいただくと、詳しい資料を入手したり、担当者に相談したりすることができます。以下のリンクよりぜひお問い合わせください。
Billは請求・稼働管理を自動化する専門職向けサービス|LEACT – Seamless data.新しいタブで開く
*boardのサポート窓口では、「Bill」および「Billとboardとの連携機能」に関するご質問には対応しておりません。ご不明な点がありましたら、上記のお問い合わせフォームまでご連絡ください。