【課題】営業がエクセルで見積書を作成し、その情報をもとに、経理が別ソフトで請求書を作成しています。見積書と請求書はほとんど同じ内容のため二重入力になってしまっています。また、営業からの情報共有が遅かったり、漏れていたりすることがあり、請求漏れや遅延が発生してしまっています。
見積書と請求書を作成する担当者やシステムが異なる場合によくある課題のようです。
今回は、このようなケースの対策を考えていきましょう。
課題解決のポイント
この場合、営業と経理それぞれの現場で個別最適になっており、連携することを前提に業務設計されていない点が問題の根本にあると考えられます。
「それぞれでやりやすい方法で」という考え方もありますが、社内業務のほとんどは前後の業務があります。そのフロー(バトンの受け渡し)を完全にシステム化しなくても、考慮した業務設計にしていくことは、会社全体の効率化にとってはとても重要なポイントになってきます。
見積書から請求書までが連動したシステムを使う
まずは、見積書から請求書までを一気通貫で作成できるシステムを導入する方法が考えられます。これにより、二重入力や共有漏れといった課題を回避できます。
この際、重要なポイントとしては、単に見積書や請求書の作成ができるだけではなく、見積もりから請求までがきちんと連動するようになっていることが重要です。
たとえば、見積書と請求書を個別に作成する仕組みだと、どの見積書が受注が決まっていて、いつ請求書を発行して良いのか判断が付きません。とくに営業と経理で役割が分かれている場合、この連携が考慮されていることはとても大事なポイントになります。そのため、書類ごと単独で作成することをメインの目的として設計されている請求書サービスの場合、このような課題の解決にならない可能性があります。
複数のシステムを連携する
「見積書の書き方が特殊なので、見積書の作成は別のシステムで行う必要がある」というケースもあります。1つのシステムで見積もりから請求までを完結させることができない場合、以下のいずれかの方法を取れる可能性があります。
- システム間の連携機能を提供しているサービス同士を使用する
- APIを公開している場合、APIを使ってシステム間で連携できるように自社で開発する
もし、利用を検討している2つのシステム間で連携機能が提供されている場合は、その機能が要件を満たせるかどうかを確認しましょう。
連携機能が提供されていない場合、APIが公開されていれば、APIを使って自社で開発できる可能性があります。ただしこの方法は、社内にエンジニアがいたり、開発を委託できる開発会社がいる必要があります。
もしくは、ZapierやAnyflowなど、iPaaSと言われる、異なるクラウドサービス間をAPIで接続するためのサービスを使う方法が取れる可能性があります。
すぐにはシステムの導入が難しい場合
短期的に、見積書から請求書までが連動したシステムの導入が難しい場合、将来的に連動できることを見据えたシステム選定をするのが良いでしょう。
たとえば、まずは請求書側だけシステム導入するとします。この場合でも、選定における要件として、将来的に見積書側も使うことを想定して、要件の整理やトライアル時の検証を行います。
このように、最終的なゴールを描いた上で、まずは部分的に導入することで、将来的にシステム選定のやり直しのリスクを軽減できます。
なお、この際、最初の段階で導入しない部署(例:経理側だけ先に導入する場合、営業の部署)のキーパーソンにも、一緒に検討に入ってもらうことをお勧めします。
boardにおける当課題の解決
boardでは、以下のような仕組みで、この課題を解決することができます。
- 案件(=受注・契約)ごとに書類を管理する仕組みなので、見積書と請求書をセットで管理できます
- 見積書から請求書に内容を自動的に反映することができます
- 受注ステータスによって、まだ見積中なのか、すでに受注したのかを管理・共有できます
- 請求書を発行して良い段階になったら「請求OK」というステータスにすることで、営業から経理へのバトンの受け渡しを管理できます
boardは「案件ごと」に書類を管理するという設計思想になっています。これにより見積書と請求書をセットで管理しやすい仕組みを実現しているため、見積書と請求書の作成・発行担当者が異なるようなケースでもスムーズに受け渡しができるようになっています。
また、請求漏れ防止の仕組みも用意されていますので、詳しくは下記をご覧ください。
参考:請求漏れが発生する原因と防止するための記憶に頼らない業務フロー・管理のコツ
このケースでよくぶつかる壁
この課題のケースのように、部署によって業務が分断されている場合、それらを連携するよう業務フローやシステムにしていく必要があるため、複数の部署間での調整・合意が必要になります。他の部署の協力を得られないことで、頓挫してしまうケースもあります。
そのため、経営層の協力を得ながら、「個別最適ではなく会社全体の業務効率化」という目的を明確にした上で進めていくことが望ましいように思います。
関連記事
board事例インタビュー
使い勝手だけでなく、boardのコンセプトも好きです。ドッグフーディングを実施している事もいいな、と思っていました。私たちも新しいサービスを自社で開発していることもあって、boardの開発姿勢にも共感が持てたんです。