営業の仕事は「売ること」だけではありません。見積書作成、受注処理、請求書発行といった業務も営業が担っていることが多く、日々の事務作業に追われている方も少なくないでしょう。一方で、SFA/CRMのような営業支援システムは、導入や運用の手間、コスト面でハードルが高く、必ずしも現場にフィットするとは限りません。そうした中小企業において、「ちょうどいい業務効率化」の選択肢となるのがboardです。
boardは、見積もりから請求までの流れを案件単位で一元管理できる販売管理ソフトです。営業担当が1人で業務を回している現場でも、情報の整理・共有・正確な書類作成をスムーズに行える仕組みを提供します。複雑な設定や過剰な機能に悩まされることなく、すぐに使い始められるのも大きな魅力です。
本記事では、営業がboardを使うことでどのように業務効率が上がるのか、具体的なメリットや活用シーンを紹介していきます。
税理士、業務設計士、リベロ・コンサルティング代表
金融のシステム企画部門、会計事務所、数社のスタートアップのバックオフィスを経て、独立。
既存の業務やシステムの使用方法を徹底的にヒアリングしながら、最適な業務フローとシステムの構成を設計し、業務からシステムまで再構築の実績多数。
業務設計の支援を手がけるリベロ・コンサルティング代表をメインで活動中。
営業が「本来の仕事」に集中できない現実
中小企業では、営業担当者が見積作成から受注処理、請求確認までをすべて1人で担っているケースが珍しくありません。本来は商談や提案、関係構築といった「売るための活動」に時間を使いたいはずなのに、実際には日々の事務処理に多くの時間が割かれてしまうのが実情です。
たとえば、見積書をExcelで作成し、PDFに変換してメール送付。顧客からの注文書を受け取ったら、あらためて注文管理表に転記し、紙のファイルに印刷して保管。請求のタイミングでは、どの案件が未請求かを再確認し、金額や消費税の計算ミスがないかを慎重にチェック──。こうした業務をすべて1人でこなしていると、それだけで1日が終わってしまうこともあります。
このような状況を変えるためには、業務のデジタル化が必須です。しかし、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理ツール)の導入は、中小企業にとって現実的な選択肢にはなりにくいものです。導入コストや定着までの工数、運用の複雑さといった壁があり、人員に余裕がなく、ITに強い人材もいない組織では導入が難航しがちです。そのため、結局は「Excel+メール+紙」でのやりとりが続き、特定の担当者に依存した業務運用から抜け出せない状況に陥ってしまいます。
こうした属人化が進むと、請求書の発行漏れや記載ミスといったリスクが高まり、経理や経営管理にも支障が出てきます。また、情報が個人の手元に分散していることで、確認作業に時間がかかり、部署間の認識のズレや対応の遅れが生じやすくなります。結果として、組織全体の業務効率が落ち、売上に悪影響を与えることにもなりかねません。
見積もり〜請求を一元管理する意味
属人化によるミスや認識のズレを防ぐためには、業務全体を一つの流れとして捉え、必要な情報を正しく接続しておくことが欠かせません。営業活動は、特定の業務に限定されるものではなく、幅広い領域に関わっています。具体的には、見積もりの作成、受注処理、請求書の発行、売上管理など、受注の前後を問わずいくつもの業務が存在しています。
これらのプロセスがバラバラに管理されていると、どこまで対応済みなのか、何が未処理なのかが把握しづらく、抜け漏れやミスにつながります。たとえば、請求書を出し忘れてしまったり、見積もりと実際の請求金額に差異があったりといったトラブルが発生する可能性があります。
こうしたミスや手戻りを防ぐためには、見積・受注・請求といった業務を、1つのシステムの中で、一元的に管理することが重要です。情報が分断されていると、確認や転記のたびにミスが生まれやすくなり、履歴やステータスの追跡も困難になります。
boardは、「案件」という単位で見積もりから請求までを一元的に管理できるシステムです。書類の作成はもちろん、案件の進捗やステータスもリアルタイムで確認できるので、営業担当者以外でも状況を把握することができ、経理との情報共有もスムーズになります。
SFA/CRMとは違う、“ちょうどいい” 立ち位置
SFA/CRMは、営業活動の「受注前」の処理を効率化し、データを蓄積するツールとして多くの企業で活用されています。商談の進捗や顧客とのやりとりを記録し、営業プロセスを可視化・共有することで、営業組織全体の生産性を高めることができます。
ただ、これらのツールは「その後に続く実務」までをカバーしているとは限りません。見積書の発行、受注状況の管理、請求書の作成といった実務は、別のツールや手作業で処理されていることも多く、情報が分断されやすい領域です。結果として、SFA/CRM上では「受注」となっていても、その後の契約や請求処理が終わっていなかったり、請求金額に差異があったりといったギャップが生まれやすくなります。
一方で、請求書作成ツールは、請求書や見積書の作成に特化しているため、営業プロセスの全体を管理することはできません。多くの中小企業に必要なのは、SFA/CRMほど大がかりではなく、請求書作成ツールよりも一歩踏み込んだ、営業実務に “ちょうどいい” 業務基盤です。
boardは、営業担当が1人で案件対応を完結させる現場でも扱いやすく、見積・受注・請求を案件単位で管理できるので、営業担当者が複数いてもスムーズに対応できます。たとえば、見積もりから請求までを同じ画面のタブを切り替えるだけで操作できるため、状況の確認や書類作成の手間が減ります。また、案件ごとのステータスをチームで共有できるので、上司や経理との連携もスムーズに行えるようになります。
boardが向いている営業組織
boardは、「見積もりから請求までの業務を効率化したい」というニーズに十分に応えることができる販売管理ソフトです。
たとえば、営業担当が見積作成から請求までの業務を1人で回している企業では、その管理負荷を大きく軽減できます。案件の情報を一元的に管理できるので、業務ごとの「やりかけ」や「抜け漏れ」が可視化され、対応の遅れやミスを未然に防ぐことにもつながります。
月に数件であれば、請求書作成ツールでも対応できますが、並行する案件が10件を超えたあたりから、受注ステータスの管理や受注した案件の確実な請求書発行といった対応が1人では難しくなってきます。私はそのような段階で、boardを活用することをオススメしています。
また、ある程度の案件数・顧客数があり、Excelなどでの管理に限界を感じている組織でも、boardの導入効果は大きくなります。boardは見積書のデータが請求書にも引き継がれる仕様なので、転記ミスは発生しませんし、請求書を発行した段階でステータスが「請求済」になるので、更新漏れも起こりません。営業のプロセスはある程度決まっているからこそ、boardが用意した枠組みの中で処理を進めるだけで、自然と情報が整理され、共有も滞りなく進みます。
ただし、boardではリード(見込顧客)の管理はできません。リード管理が必要な営業組織では、SFA/CRMの導入が必要です。boardはHubSpotとの連携も可能ですので、このあたりの機能は後から拡張することも十分に可能です。
一般的には、名刺交換や資料ダウンロード、問い合わせなどを行った顧客がリードに入り、その中から商談化され、見積書を提示したものを受注の見込みがある案件として追っていくことになります。boardは、この商談化後に活用するツールです。自社の営業組織の課題がどこにあるのかを見極めてから導入を進めましょう。
まとめ:営業の「業務効率化のための仕組み」としてのboard
営業領域のデジタル化で、多くの企業がまず検討するのはSFA/CRMの導入です。たしかに、顧客管理や商談進捗の「見える化」は重要ですが、それだけで営業の業務全体が効率化されるとは限りません。
とくに中小企業においては、1人の営業担当者が見積作成から請求対応までをこなさなければいけないことが多く、「受注前後の業務」にも多くの工数とストレスがかかっています。こうした営業実務の負担を見過ごしたままでは、いくら商談管理のデータを整えても、業務の効率化や成果の向上は望めません。
boardは、見積・受注・請求という営業のプロセス全体をスムーズにし、営業が本来の仕事に集中できる状態を作るための業務基盤です。
過剰な機能に悩まされることなく、かといって請求書作成だけでも終わらない。boardは、中小企業の営業現場にフィットする “ちょうどいい” 販売管理ソフトです。見積・受注・請求の業務を1つの流れとして管理できるので、営業の仕事が整理され、結果として売上にもつながる仕組みを作ることができます。日々の営業実務に課題を感じているなら、boardを選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。