課題
- 創業当初はクラウド会計ソフト付属の書類作成機能を使っていたが、見積書を何通も出す前提では使いづらかった
- 書類は作成できても、案件の管理には適していなかった
対策
- 案件単位で見積もりから請求まで管理できるよう、販売管理システムを導入する
効果
- 圧倒的なコストパフォーマンスで見積業務と経営管理が効率化された
- 見積書を作成すると金額が自動で集計され、売上の見込みをリアルタイムで把握できる
- 請求書を紙で求められるケースにもボタン操作で手軽に対応できる
株式会社センクシャは、コンサートやCM、映画、テレビなど、エンターテイメントショー・イベントの企画からデザイン・製作・施工までをワンストップでプロデュースしている企業です。
「エンターテイメント産業をリデザインする」をミッションに掲げる同社では、レガシーな業界を変えるためにはまず自分たちがDXされた状態にならなければいけないという考えから、創業当初よりITツールなども積極的に活用されてきました。
その中で、同社がboardを選んだきっかけは何だったのか、業務効率化にboardがどのように役立っているのか、代表取締役の小松﨑泰広様にお話をお伺いしました。
boardはパフォーマンスが圧倒的にいい
board導入の背景を教えてください
将来の業務拡大に備えて、販売管理を効率的に行える方法を探していました。
会社の設立当初は、創業時に導入したクラウド会計ソフトに帳票の作成機能が付いていたので、とりあえずそれを使って見積書や請求書を作っていました。
ただ、書類は作れたとしても案件としての管理がしづらく、とくに見積もりの作成・管理に使いづらさを感じていました。
これから社員が増える前提に立ったときに、「見積もりから請求まで、案件単位でしっかりと管理したい」と考え、販売管理システムの導入を検討していました。
いくつかのツールを検討されたそうですが、boardを選んだ決め手は何でしたか?
大きく分けて2つあります。1つめは、もともと使っていたクラウド会計ソフトとの連携ができること。そして、2つめがコストパフォーマンスです。
販売管理システムは、大手企業だと自社で内製することも多いと思います。実際、私の前職の会社でもそうでした。その開発費用はおそらく1千万〜2千万円はかかっていると思います。
当社のような小さな会社では、それだけの予算をシステムにかけることができません。会社の実力以前に、こういう部分で大手企業と中小企業との間に「業務効率の差」が生まれてしまうのです。
しかし、boardなら法人向けプランでも月額数千円で使うことができて、業務効率の面でも前職で使っていたシステムに引けを取らないどころか、むしろboardの方が優れていると感じました。
手頃な価格で、小さな会社でも大手企業と遜色ない販売管理システムを使うことができる。今までいくつもSaaSを使ってきましたが、多くの有名SaaSと比べてもboardはコストに対して得られるパフォーマンスが圧倒的に高いと感じました。
普段の業務でboardを使うだけで、必要な数字が自動で集計できる
実際の業務ではboardをどのように利用されていますか?
当社の場合、引き合いが来たらまずはboardに案件を登録するようにしています。boardに登録しておけば、いつ・どの顧客と・どんな案件が動いているのかがわかり、そこから見積もりや請求まで紐付けて管理できます。
boardを使うようになって、経営管理の面でもとても助かっています。
見積書に金額を入れると、自動的に売上の見込みが集計されます。大体の金額でも入力しておけば、それだけで先々の売上が予測できるのです。
さらに、見積もりのステータス(確度)別に分析することもできますし、案件のステータスを変更すれば売上の見込みもリアルタイムに反映されます。
メンバーには、「案件の状況が変わったらすぐboardのステータスにも反映するように」ということを徹底していますので、わざわざ担当者に案件の状況を確認しなくても、自動的に最新の売上予測が可視化されていきます。
今期の売上予測は10億円なのですが、スプレッドシートで別途集計しなくても、こうした数字をパッと出せます。余計な事務作業なしに数字を出せるのは、忙しい中小企業の経営者にとって非常にありがたいことです。
実際、直近の資金調達ではboardで集計した売上予測をもとに事業計画書を作成しました。「現時点でこれだけの案件(見積もり)が動いている」というデータを根拠にすることで、事業計画の信頼性が増し、かなりの金額を調達することができました。
メンバーの皆さまはboardをどのように利用されていますか?
当社ではバックオフィスだけでなく、営業やプロジェクトマネジメントを担うフロントオフィスのメンバーもboardを使っています。
当社の場合、営業の商談は複数回の見積もりを経て徐々に進んでいきます。たとえば、商談の初期では「プランA・B・C」というように複数パターンの提案をすることが多いですし、途中で設計や仕様が変更になればその都度見積書を出し直します。
boardなら、1つの案件の中で見積書の変更履歴を管理できて、“ブランチ”※を作ることもできます。複数パターンの見積もりを提案し、採用となったパターンの見積もりを確定版として残すという流れがとても便利で、重宝しています。
※ ブランチ機能は、1つの案件内に別パターンの見積書を作成できる機能です。「複数パターンの見積書を作成し、そのうちの1つが採用される」というケースで活用できます。
また、項目別に集計ができる機能を、毎月の会議で活用しています。
当社には情報をオープンにしようという文化があり、会社の状況もメンバー全員に会議で伝えるようにしています。担当者別に売上を集計すれば、いつ・誰が・どれだけ売上を上げているのかがすぐにわかります。たとえば、「○○さんは今月こんなにがんばって売上を上げている」とか「会社全体の今の売上はこのぐらい」といった情報を、すぐにメンバーと共有することができます。
普段の業務でboardを使っているだけで、こうした数字がすぐに出せるようになるので、とても便利ですね。
それから、これも大事な点ですが、新しく入ってきたメンバーに「boardを使えばボタン1つで請求書を送れるよ」と説明すると、みんなとても驚くんですよ。
エンターテイメントの世界は伝統的な業界なので、アナログな部分もまだ残っています。今はだいぶ少なくなりましたが、それでも「請求書を紙で送ってほしい」という会社はあるので、忙しい月末に自分で1つ1つ書いたり、事務の人に頼んで送ってもらったりしなければいけない。中途のメンバーには、それが普通だという環境にいた人も多いんです。
その請求書が、boardならボタンをポチポチと押していれば発送できて、しかも請求済みになったものはクラウド会計ソフトへ自動的に連携される。アナログな業務が当たり前の業界で働いている者からすると、本当に革命的ですね。
あとは、スマホからの操作が以前はほとんどできなかったように記憶していますが、現在はほぼ問題なく使えるようになりましたよね。出張が多いので、移動中の電車の中などで確認できてとても助かっています。
メンバーの皆さまに使っていただくにあたり、ITリテラシーが問題になることはありますか?
メンバーによるITリテラシーの差はありますが、その部分は「会社の文化」を作ることでカバーするしかないと思っています。
まずは、代表である私がきちんと使いこなした上で、メンバーにも小まめに声がけをしていく。先ほども話したように、メンバーには「案件の状況が変わったら、すぐにboardのステータスにも反映するように」ということを徹底していますし、会議のときも「この案件は最新のステータスになっているか?」といったことをよく確認しています。
そうやって会社としてboardを使うことが当たり前の雰囲気ができてくると、メンバーにも「みんなが使っているから、自分も使えるようにならなければ」という意識が生まれるのではないでしょうか。
メンバーに使ってもらうという点では、boardはヘルプページがとてもわかりやすいので助かっています。
新しいメンバーが増えたときに細かく使い方を教えなくても、「わからないことがあったら、とりあえずヘルプページを読んでみて」と言って済んでいるので、しっかり考えてヘルプページが作り込まれているのだなと感じます。
boardの現時点での満足度はいかがですか?
当社ではまだ使い切れていない部分もありますが、それでも点数を付けるなら100点満点中120点です。
エンターテイメント業界では、規模の大きい案件を扱える会社は多くありません。ほとんどの場合はまず大手企業がプロジェクトを受注して、そこから下請け・孫請けの企業へ仕事が流れてくるので、構造的には建設業界と近いのかもしれません。
その意味で、建設業向けの販売管理システムでもいいのかなと考えたこともありますが、私たちは純粋な建設業ではないのでベストマッチにはならないんですね。そう考えたときに、boardはどの業界でも使える設計になっていますし、起業した当初はもちろん、売上が10億円規模になった現在でも十分に使えています。
業界を問わずに使えて、現場の業務をよく考えた設計になっているのは本当にすごいなと思います。boardは数あるSaaSの中でも「起業したら絶対にお勧め」なツールですね。
無駄のない、社員にとってベストな環境を作る
今後、boardをどのように活用していきたいですか?
将来的には、案件の原価や、会社のキャッシュフローも管理できるようにしたいと思っています。
当社の場合、ショーやイベントの企画からデザイン・製作・施工までを一気通貫で手がけていますので、1つの案件に対して発注先が15〜20社ぐらいあります。
ステージの図面作成を外注することもあれば、工場へ材料の手配もしますし、その材料も木工や鉄工などの種類によって別々に発注しなければなりません。運搬するトラックや、大きな現場なら重機の手配も行います。当然、現場で施工する職人さんや、小道具や飾り付けの花、音響や照明も必要です。
現時点では、これらの発注の管理が複雑すぎてboardに登録しきれていないのですが、将来的にはboardで管理して、売上だけでなく原価や利益などもリアルタイムに把握できるようにしたいと思っています。
そうすれば、キャッシュフロー予測の機能も活用できるようになるので、資金繰りの管理をしやすくなることも期待しています。
センクシャ様の今後の展望を教えてください
私は長くこの業界で働いていますが、エンターテイメントは人々を楽しませるものなのに、それを提供する側が疲弊してしまっている状況を目の当たりにしてきました。
ショーやイベントのスケジュールは絶対に守らなければいけない、でも現場ではさまざまな問題が発生して、それを皆が過酷な労働環境の中で乗り越えていくというような状況があります。
これからも業界が健全に持続していくためには、そんな状況を変えて、まずは私たちが自ら楽しんで仕事をできるようにしなければならないという思いから、この会社を創業しました。
「エンターテイメントで人々を幸せにする」という経営理念は、ショーやイベントに来てくれるお客様だけでなく、そこで働く自分たち自身にも向けた言葉なんです。
それはboardを始めとしたITツールを使って無駄をなくして、働きやすいベストな環境を作って、本当にやるべきことに時間を使えるようにするということでもあります。
そのような取り組みを通して、これからもエンターテイメントでみんなの人生が潤うように会社を運営していきたいと考えています。