クラウド請求書サービスの選定・乗り換えでは、機能の○×比較だけでは見えない「運用体制」の質が、中長期の業務体験に大きく影響します。選定時は機能に目が行きがちですが、問い合わせの質や障害時の情報公開、仕様変更の不透明さが積み重なると、想像以上にストレスとなります。
本記事では、クラウド請求書サービスの継続利用で差が出る運用体制の見極め方を解説します。
なぜ「運用体制」を評価すべきか
請求業務は、取引先からの要求の変化、時代の移り変わりや法令・制度変更への追従など、変化と例外がつきものです。導入時に要求を満たしていても、継続運用では以下のようなリスクが顕在化します。
- 問い合わせに対する返信が遅く、品質も低いため、業務が滞る
- 機能追加や改善に消極的で、時代に合わせたアップデートが期待できない
- 仕様変更・機能追加の情報が見つからず、古い使い方のまま運用してしまう
- 障害時の情報開示が遅く、社内外への説明が困難になる
- 運営スタンス・設計思想が自社のものと乖離し、想像以上にしっくりこない
こういったリスクを低減するため、機能面以外の部分にも目を向けて、クラウド請求書サービスを選定することが重要です。
サポートの品質・返信スピード
サポートは、導入初期のオンボーディングだけでなく、運用の継続性を左右します。回答速度と正確さ、業務理解の解像度の高さなどは、スムーズなサービス理解だけでなく、困ったときの迅速な解決につながります。
チェックポイント
- 目安の返信時間や実績が明示されているか
- 回答の品質は十分か(テンプレ回答ではなく、問い合わせ内容や状況に即したものか)
- サポート担当が変わっても一定の品質が保たれているか
- サポート時間外でも解決できるようヘルプが充実しているか
クラウド請求書サービスを導入するにあたっては、トライアルをしてサービスを検証することが一般的です。機能検証だけに留まらず、実際に問い合わせを行い、サポートの品質や返信スピードを確認することをお勧めします。
boardでは、サポート回答時間の実績を毎月公開しています。一方で、回答時間を短縮することを目的とはせず、正確で有用な回答を提供することを重視しています。
また、事例インタビューなどでもサポートの品質と返信スピードについて言及していただくことが度々あるなど、高い評価をいただいています。
継続的な機能追加・改善
システムは一度作ったら終わりではなく、継続的な機能追加・改善が不可欠です。とくに中長期で利用する場合、時代の変化や法令対応もあります。また、継続的に改善するスタンスで運用していないサービスは、将来的に陳腐化するリスクがあります。
チェックポイント
- 機能追加・改善がどの程度の頻度で行われているか
- ユーザーからの要望・フィードバックを伝える仕組みがあるか
- 機能追加・改善のロードマップが公開されているか
最初のうちは頻繁にアップデートしていても、ある程度時間が経つと更新が止まってしまうサービスもあります。過去のリリースノートを確認し、継続的に機能追加・改善が行われているかを確認しましょう。
boardでは、今後の予定を公開している開発ロードマップを提供しています。また、ロードマップに記載がない細かい機能追加・改善も、週1回程度の頻度で継続的にリリースしています。
機能追加・変更情報の確認しやすさ
せっかく機能追加・改善されても、それに気づかなければ意味がありません。変更情報が整理されており、簡単に確認できるようになっていることが重要です。また、互換性に影響する変更については、事前告知があるかも確認しましょう。
チェックポイント
- 更新履歴(リリースノート)が公開されており、全体を把握しやすいか
- 変更内容の詳細が分かりやすく説明されているか
- 互換性のない変更が入る場合には事前告知があるか
- ロードマップが公開されていて、今後の予定が把握できるか
クラウド請求書サービスは、毎日利用するケースもあれば、月数回程度の利用にとどまる場合もあります。頻繁に利用しない場合でも、変更情報を簡単に確認できる仕組みがあるかを確認しましょう。
boardでは、機能追加・改善をまとめて確認できる更新履歴や、そこからリンクするかたちで機能追加・改善のお知らせ記事を提供しています。互換性に影響する変更については、事前に告知を行っています。
設計思想・運営スタンスが感じ取れるか
同じ「機能」でも、想定ユーザー層や前提となる業務フローの違いで使い勝手は大きく変わります。設計思想は、細部の仕様や案内文章、ヘルプの書きぶりから読み取れます。
チェックポイント
- お試しする中で、違和感なく利用することができるか
- ヘルプなどで、設計思想や利用シーンが伝わるようになっているか
- UIの文言やフローが一貫しており、学習コストが低いか
- SNSなどで情報発信がされており、運用状況を把握しやすいか
設計思想はシステムそのものに反映されるため、お試しすることで実感しやすいポイントです。一方、運営スタンスは、ヘルプやSNSなどの情報発信から感じ取れることがあります。そういった情報も含めて確認すると良いでしょう。
参考:クラウド請求書サービスの上手な選び方——機能の○×(比較表)ではなく設計思想で見極める
障害時の情報共有(ステータスページ、障害報告)
どのようなシステムであっても障害はゼロにできません。そのため、障害発生時にどのように情報共有が行われるかを確認することが重要です。
評価観点
- ステータスページ(障害時の情報発信のページ)がシステム本体とは別に用意されているか
- 大きな障害時は、ステータスページとは別に後日報告が提供されるか
- 障害時にSNSなどでの情報発信が行われているか
システムの障害時は、ヘルプやサポート窓口などの通常の情報経路が使えないことがあります。独立したステータスページが用意されているか、また障害後の報告が提供されるかを確認しましょう。
boardでは、サービス稼働状況新しいタブで開くページを公開しており、障害発生時にはboard本体とは別に情報発信を行っています。これにより、システム障害の影響を受けにくい情報経路を確保しています。
セキュリティー認証の取得状況とセキュリティー関連機能
クラウド請求書サービスは、企業の重要な財務情報を扱うため、セキュリティー対策が不可欠です。サービスのセキュリティーに対する姿勢が分かる指標として、認証取得状況と提供されているセキュリティー関連機能を確認します。
評価観点
- ISMSなどセキュリティーに関する認証を取得しているか
- サービスの機能として、操作ログや権限制御などのセキュリティー関連機能が提供されているか
- ログインの認証手段として、2段階認証・SSO・パスキーなど時代に合わせた認証手段が提供されているか
- セキュリティー対策についての情報が公開されているか
ISMSのような認証は1つの判断材料ではありますが、セキュリティーそのものを保証するものではありません。認証取得状況に加えて、提供されているセキュリティー関連機能や情報公開の有無などを含め、対象のサービスがどのようなセキュリティーに対するスタンスなのかを総合的に評価しましょう。
boardを運営しているヴェルク株式会社では、ISMSを取得しています。
また、boardでは、各種セキュリティー対策機能を提供しているだけではなく、セキュリティー割引を提供するなど、積極的にセキュアな運用を行えるよう支援しています。
また、boardの運営として取り組んでいるセキュリティー対策についても公開しています。
まとめ
クラウド請求書サービスの選定に際して、機能だけに目が行くと見落としがちな運用面の重要性を再認識しましょう。サポート、変更情報、設計思想、障害対応、セキュリティーなど、多角的に運用体制を評価することが重要です。