個人事業主やフリーランスとして仕事をしていると、取引先への請求書発行は避けて通れません。昨今はインボイス制度などもあり、様々な記載要件や注意事項があります。
記載に不備があると入金遅延や再発行の手間などが発生することもあります。さらに、業務内容によっては源泉徴収の対象となる場合があり、記載方法にも注意が必要です。
本記事では、請求書の正しい書き方と注意点、そして源泉徴収の取り扱いについても解説します。
目次
請求書の基本構成

請求書は、商品やサービスの提供に対して、代金を請求するための書類です。金額や支払期日、取引内容を明確にし、双方の誤解を防ぐ役割があります。また、取引先の社内では、支払処理・会計処理の証憑としても利用されます。
請求書タイトル
書類の冒頭に「請求書」と明記します。上部中央に大きめの文字で記載するのが一般的です。
「ご請求書」「御請求書」などの表記もありますが、それほど深くこだわる必要はないでしょう。
発行日(取引日・請求日)
請求書を作成・発行した日付を記載します。入金期限や会計処理の基準日になるため、正しい日付を記載します。
この日付の決まり方については、ビジネスモデルによって異なる可能性があります。「請求書の発行日(請求日)と支払期限の決め方|掛売方式・都度方式別の実務ポイント」に詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
請求書番号
各請求書を識別する番号です。通し番号など、一意の番号を付けることで、後の管理や参照が容易になります。
年月を含めた形式や部署の識別子を含めるケースなど、単なる一意の番号ではなく番号に意味を持たせるケースも見受けられます。しかし、筆者の経験上、この番号は不変な一意の番号であるのが望ましいと考えているので、番号に意味は持たせず、単純に通し番号で良いと思います。
たとえば請求年月を付与した場合、請求がズレると番号が変わってしまいます。このような管理になると、請求書の管理が煩雑になり、業務効率化の本質ではありません。
なお、番号に意味を持たせる運用は、紙での管理が前提となっている場合に多いように思います。クラウド請求書作成サービスなどを利用している場合は、年月や部署等での検索は容易にできますので、電子化した後は問題にならないことが多いと思われます。
請求先情報
顧客の会社名を記載します。法人の場合は正式名称を省略せずに書きます。
参考:請求書の宛名はどう書く?会社名・部署名・担当者名の使い分けとインボイス制度の要件
発行者情報
自分(事業者)の氏名または屋号、住所、連絡先、必要に応じて登録番号(インボイス制度対応)を記載します。
取引内容
提供した商品やサービスの名称、数量、単価、金額を明細として記載します。
請求金額
税抜金額、消費税額、合計金額を明確に分けて書きます。
参考:請求書の消費税端数処理|切り捨て・切り上げ・四捨五入とインボイス制度の注意点
支払期限
いつまでに支払ってもらうかを記載します。契約時・受注時に「月末締め翌月末払い」などの条件を決めていると思いますので、それに基づいた日付を記載します。
参考:請求書の発行日(請求日)と支払期限の決め方|掛売方式・都度方式別の実務ポイント
支払方法
銀行振込口座や振込名義人を記載します。金融機関名・支店名・口座種別・口座番号を正確に記載します。
振込名義人は、振込時にカタカナで入力しますので、カタカナ表記の方が親切でしょう。
参考:請求書の振込先口座情報の適切な書き方と注意点|銀行名・支店名・名義人・手数料負担まで
インボイス制度関連情報
適格請求書発行事業者の登録を行っている場合は、登録番号や税率別金額の表示、税率ごとに端数処理は1回などのインボイス制度の要件を満たす記載も必要です。
詳しくは「インボイス制度(適格請求書等保存方式)における請求書・支払通知書等の作成方法と注意事項」をご覧ください。
押印
一般的に、請求書には押印することが多いですが、最近では押印を省略するケースも少しずつ出てきています。最初から押印しておく方がスムーズかと思いますが、省略したい場合は取引先に確認しましょう。
個人事業主・フリーランスと源泉徴収
源泉徴収とは
源泉徴収は、報酬や料金の支払い時に、支払者が所得税をあらかじめ差し引き、代わりに納付する制度です。受け取る側(フリーランス)には、差し引かれた金額が振り込まれます。
源泉徴収の対象となるケース
フリーランスのすべての仕事が源泉徴収対象ではなく、業務内容によって異なります。たとえば以下のような業務は源泉徴収の対象となります。
- 原稿料・講演料
- デザイン料など、一部の業務委託報酬
- 弁護士・税理士など士業の報酬
業務の種類や契約形態によって判断が異なるため、国税庁のガイドラインを確認したり、税理士・会計士に相談することをお勧めします。
参考:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁新しいタブで開く
請求書を書く際の注意点
金額や日付の誤記を防ぐ
請求金額や発行日、支払期限の記載ミスは入金遅れの原因になります。とくに以前の請求書をコピーして作成すると日付が古いままになってしまうことがよくあります。作成後に必ずダブルチェックしましょう。
インボイス制度への対応
2023年10月から始まったインボイス制度では、適格請求書発行事業者の登録番号や税率ごとの消費税額の明記が必要です。適格請求書発行事業者を行っている場合は、要件を満たした請求書になっているか確認しましょう。
振込手数料の負担者を明記
「振込手数料は貴社ご負担でお願いします」など、費用負担を明記すると後々のトラブルを防げます。
参考:請求書の振込手数料はどちらが負担?地域差・業界の習慣も解説
電子データ(PDF)での発行可否
請求書はPDFなどの電子データでも有効です。ただし、取引先によっては紙の原本を求められる場合もありますので、初めての取引先には事前に確認しておくと良いでしょう。
請求書をスムーズに発行するための工夫
請求書の発行枚数が数枚程度であればエクセル・Googleスプレッドシートなどでも大丈夫ですが、発行枚数が増えてくるとミスの温床にもなります。
個人事業主・フリーランスであっても、クラウド請求書作成サービスを使って効率的に請求書を作成することをお勧めします。
請求書作成・発行業務を効率化し、ミスやトラブルを防ぐためのポイントを分かりやすく解説した
まとめ
請求書は、正確な情報と明確な条件を記載することで、入金トラブルを防ぎ、スムーズな取引を実現します。
とくに個人事業主・フリーランスの場合は、業務内容によって源泉徴収の有無が変わるため、記載方法に注意が必要です。テンプレートやツールを活用して、効率的かつ正確に請求書を作成しましょう。