HubSpotで見積書・請求書を作成する際の課題とboard連携による解決〜インボイス制度対応、業務プロセス改善

HubSpotで見積書・請求書を作成する際の課題とboard連携による解決〜インボイス制度対応、業務プロセス改善

 

はじめに

マーケティングからセールス、カスタマーサポートまで幅広い業務領域で利用されている「HubSpot」は、柔軟性の高さと親しみやすいUIが特長的なアメリカ発のCRM(Customer Relationship Management)システムです。2024年時点で約120か国、22万社で利用されており、高い評価を得ています。

セールス領域では、顧客とのコミュニケーション履歴や商談情報をHubSpotで一元管理することにより、営業活動の効率化が期待できます。

一方、HubSpotが標準で提供する見積書や請求書の作成機能には、日本とアメリカの商習慣・法令等の違いから、日本企業が利用する際には注意が必要な点もあります。また、多くの企業で採用されている営業・経理の分担業務という観点でも、いくつかの課題が見られます。

本記事では、日本企業がHubSpotで見積書・請求書を作成・管理する上での留意事項や、営業・経理間で発生しうる問題を整理します。そしてこれらの課題への解決策として、boardの「HubSpot連携」機能を活用する方法をご紹介します。

 

日本企業がHubSpotで書類作成を行う際の課題

日本企業がHubSpotで書類作成を行う際の課題。捺印文化への対応、日本の法令への対応、営業担当者の見積書作成、経理担当者の請求書作成

捺印文化への対応

日本では、見積書や請求書などの書類発行時に社印を捺印することが一般的です。しかしHubSpotには捺印機能がないため、書類PDFに後から印影の画像を合成するか、紙に印刷してから押印を行う必要があります。

また、書類への捺印は、単に形式的なものではなく、上長の承認を得ることにより、内部統制やミス防止の役割を果たす側面も持っています。HubSpotで見積書の申請・承認を行うためには、最上位プランのSales Hub Enterpriseを契約している必要があるため、この運用にあたってはコスト面の課題が生じると考えられます。

 

日本の法令への対応

2023年10月から施行されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)をはじめ、日本の商取引では、書類の取り扱いにあたってさまざまな法的要件が求められます。この点に関して、現在のHubSpotの請求書作成機能では、以下のような要件への明確な対応策が用意されていません。

  1. 登録番号(T+13桁の番号)を記載すること
  2. 税率別の内訳(金額、消費税額)を表示すること
  3. 消費税の端数処理を税率ごとに1回のみとすること

 

これらの要件を満たすためには、HubSpot内で既存の機能を組み合わせる等の対応が必要になると考えられます。

また、HubSpotで請求書の作成は行わず、見積書のみを作成する場合でも、インボイス制度対応の請求書と端数処理の計算ロジックが異なる場合は、合計金額に差異が生じる可能性があります。

 

営業担当者が見積書を作成する際の課題

営業担当者がHubSpotで見積書を作成する場合、書式やレイアウト、作成プロセス等において、標準的なシステムとは異なる点が少なくないため、使いこなせるようになるまでには一定の時間がかかる可能性があります。

たとえば、次のような点です。

  • 事前に登録した商品項目から明細を作成する必要がある
  • 書類作成後、自動的に共有用Webページが生成される
  • デフォルトの設定では「御中」などの敬称が表示されない
  • 値引きの方法が複雑

 

経理担当者が請求書を作成する際の課題

多くの企業では、業務の分担や透明性の確保、また不正防止等の観点から、見積書は営業担当者が作成し、請求書は経理担当者が発行するという運用を採用しています。

この際、経理担当者が請求書を発行するためには、営業担当者から、正確な情報が適切なタイミングで共有される必要があります。

しかし、HubSpotは基本的に「営業寄り」のシステムであるため、経理担当者のニーズには必ずしもフィットせず、HubSpot上で請求書の管理まで行うことは、請求業務の効率化という観点では機能しないケースが多いようです。

 

HubSpot × board連携で課題を解決

こうした課題の解決策として、boardの「HubSpot連携」機能をご紹介します。

 

boardの「HubSpot連携」機能とは

boardは、見積もり・請求・受発注管理・売上予測をラクにする、中小企業・個人事業主のための販売管理システムです。

見積書や請求書、発注書などの書類作成はもちろん、支払管理、売上見込の把握、キャッシュフロー予測なども行えます。国産のシステムで、日本の商習慣を考慮したさまざまな機能を提供しており、2025年1月時点で5,500社以上のお客様にご利用いただいています。

boardは会計ソフトをはじめとするさまざまなシステムとの連携機能を提供していますが、営業管理の分野ではHubSpotとの連携に対応しています。

boardがカバーする業務領域図:boardでは、営業管理や見積もり作成から、受注、納品、請求、入金の管理までをカバーして、それらのデータをもとに売上見込みや案件単位の損益管理を行うことができます。また、boardから、フリー、マネーフォワード、弥生会計などの会計ソフトへ請求や支払データを連携することができます。

 

boardが提供する「HubSpot連携」機能では、HubSpot側で顧客・リード管理を行い、ある程度の段階でboardに連携するという使い方を想定しています。board側では、見積書・請求書の作成および管理、その後の入金管理といった後続業務を行います。

boardとHubSpotの連携概要図

【関連事例】 boardとHubSpotの連携機能により、リード獲得から請求まで一気通貫の業務プロセスを実現(「効果」より)

 

「HubSpot連携」機能を利用すると、HubSpotが標準で提供している機能だけでは解決できないさまざまな課題に対応できます。

日本企業がHubSpotで書類作成を行う際の課題をboard連携で解決

捺印文化への対応

boardでは、標準機能として書類PDFの捺印表示に対応しています。また、以下の機能を通して、捺印や申請・承認に関わる業務をオンラインで完結できます。

  • ユーザー権限の設定により、捺印可能なユーザーを限定
  • 複数の承認者を設定
  • 申請・承認のフローを複数作成し、部署や担当者によって使い分ける
  • 未承認書類への「DRAFT」表示で承認済み書類との差異を明確化
 
【関連ヘルプ】

 

日本の法令への対応:インボイス制度

boardはインボイス制度の要件である「登録番号の表示」「税率別の金額・消費税額の表示」「消費税計算に関する端数処理要件」に対応しています。また、取引先ごとの登録番号管理や登録状況をチェックすることも可能です。

【関連ヘルプ】 boardのインボイス制度の対応状況を教えてください

 

日本の法令への対応:各種税率・源泉徴収

外税・内税の設定の他、源泉所得税、軽減税率にも対応しています。

【関連ヘルプ】

 

日本の法令への対応:電子帳簿保存法

自社発行の書類(請求書など)を電子帳簿保存法に基づいて保管できます。

【関連ヘルプ】 電子帳簿保存法の対応状況を教えてください

【関連事例】 インボイス制度や電子帳簿保存法への対応もboardを活用して進められている(「効果」より)

 

営業担当者がboardで見積書を作成するメリット

見積書を作成する際には、正確かつ迅速な対応が求められます。boardでは、短時間で手間をかけずに書類を作成するための機能を多数用意しています。

  • 過去の案件や書類を再利用できる「案件コピー」機能
  • 書類でよく使う文面をあらかじめ登録しておける「書類テンプレート」機能
  • 書類に記載する品目をあらかじめ登録しておける「品目管理」機能
  • Excelで概算した内容をboardにコピー&ペーストできる機能
 
【関連ヘルプ】
 

【関連事例】 SFAツールの見積作成機能はカスタマイズに手間がかかるため、柔軟な運用ができなかった(「課題」より)

 

経理担当者がboardで請求書を作成するメリット

boardでは、書類を「案件」の一部として作成していく仕組みになっています。また、見積書の作成時に、その明細を同じ案件の請求書に反映する仕組みになっているため、経理担当者は請求書を別途作成する必要がありません。そのまま発行処理を行うか、変更が必要な場合も必要な箇所のみ変更すれば作成が完了します。

また、案件の受注状況や請求情報などを一覧画面で管理できるため、書類と案件を紐付けるための管理表を別途用意する必要もありません。

さらに、boardから送信されたメールの履歴はHubSpotのアクティビティーに反映されるため、営業担当者は経理担当者が請求書を送付したことをHubSpot上で確認できます。

【関連事例】 見積もりの情報をboardに一元化したことで、管理部の請求業務の負担を削減(「事例のポイント」より)

 

まとめ

HubSpotは、マーケティング・セールスの領域で強みを発揮するシステムです。しかし、利用にあたっては日本の商習慣や法令(インボイス制度、電子帳簿保存法など)への対応において工夫が必要です。とくに請求書の作成・管理といった後続業務に関しては、HubSpot単体では不足が生じる場面もあります。

これに対して、boardの「HubSpot連携」機能を活用することで、以下のような課題解決を実現できます。

  • 捺印や敬称といった日本独自の文化、インボイス制度など法令への対応を前提とした見積書・請求書の作成・管理
  • HubSpotで蓄積された情報をboardへ反映し、営業・顧客管理と販売・請求管理をシームレスに連携
  • 営業・経理担当者の情報伝達を円滑化し、会社の業務全体の効率化を促進

 

HubSpotをご利用中の方、また導入をご検討中の方は、見積書や請求書の作成・管理にかかる負担を軽減し、業務の効率化を実現するboardを是非ご検討ください。

 

監修者:松永 創
株式会社FLUED CEO 代表取締役 HubSpotシニアスペシャリスト

監修者コメント
FLUEDはBtoBに特化し、HubSpot・boardの導入支援を多数行っています。

見積もり・請求の作成や捺印申請・承認のプロセス、電子帳簿保存法対応など、日本独自の商習慣に対応できるツールはいくつかありますが、高価であったり、CRMと連携できないケースも多くあり、プロセスが分断される原因になっています。

私たちは「受注まではHubSpot、それ以降はboard」という非常にシンプルな運用オペレーションを推奨しています。FLUED自身もHubSpot × boardの組み合わせでオペレーションを行い、効率的に営業・経理のバックオフィス業務を運用しています。

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