
製造業、とりわけ小規模な町工場では、「生産管理」と「帳票作成」を別々の手段で行うケースが多くあります。この方法には、それぞれの業務に適した方法を使えるというメリットがある一方、同じ情報をそれぞれに登録しなければならないというデメリットがあります。
たとえば、現場で管理している受発注の情報が社内に共有されていないため、経理が請求書や納品書を作成するときに、同じ情報を専用のソフトに登録しなければならないといった問題です。
このような問題を解決する助けになるのが、今回紹介する生産管理システム「エムネットくらうど」のboard連携機能です。
本記事では、エムネットくらうどとはどのようなシステムなのか、またboardと連携することでどのようなことが可能になるのかを詳しく解説します。
「エムネットくらうど」は町工場が自分たちで使うために開発した生産管理システム
「エムネットくらうど」は、日本ツクリダス株式会社が開発・販売している生産管理システムです。

従来の生産管理システムは、規模の大きな製造現場に向けた高機能・高価格のものが主流であり、小規模な町工場には必ずしも適していないという課題がありました。
「弊社自身が金属加工の町工場を営む中で、使いやすいシステムがなかなか見つからず、だったら自分たちで作ろうというところから開発が始まったんです」
日本ツクリダス株式会社 ことづくり事業部で、エムネットくらうどの開発に携わるエンジニアの胡子(えびす)氏は開発の経緯をこのように語ります。
町工場による町工場のための生産管理システム。それがエムネットくらうどです。
特長1:町工場に適した柔軟性
町工場に特有の課題として、イレギュラー対応の多さがあります。
たとえば、第1工程→第2工程→第3工程と順序立てて進める想定をしていても、実際の現場では「それは後回しでいいから、これを先にやってほしい」「その作業はいったんストップしてほしい」など、顧客からの要望によって工程の順序が前後することも少なくありません。この場合、システム上では「第2工程の完了日が第1工程の完了日よりも前に設定される」といった日付の矛盾が生じてしまいます。
「従来の生産管理システムでは、日付や工程の順序を一度登録すると変更が難しくて、関連する入力項目をすべて修正しなければいけないことが多かったんです。いくつもの手続きを踏まないと先に進めない仕組みになっていて、町工場には使いづらかったですね」(胡子氏)
エムネットくらうどは、そんな現場の実情に合わせて、必須項目をなくし、日付の矛盾も許容できる柔軟なシステム設計を実現しています。
特長2:現場の職人が使いやすいバーコード中心の設計
もう一つの大きな特長は、バーコードによる運用を中心にしていることです。
エムネットくらうどでは、案件ごとに固有のバーコードが生成されます。これをラベルシールにプリントして必要な場所に貼り付けておくと、現場ではバーコードリーダーで読み取って作業の進捗などを管理できます。

とくに金属加工の現場では、作業により手が汚れていたり、分厚い手袋をしていたりするため、PCやタブレットの操作がしづらい状況があります。このような環境でも、バーコードを使えば管理が容易になります。
「職人さんはITに不慣れな方も多いですが、バーコードリーダーなら馴染みがあるので抵抗感なく使ってもらいやすいです」(胡子氏)
このように、エムネットくらうどには現場での利用を想定したさまざまな工夫が凝らされています。
特長3:「進捗管理」に特化することで低コストを実現
エムネットくらうどは、機能を本当に必要なものだけに絞り込むことで低コストを実現しています。
町工場では、高度なスケジューリング機能や複雑な在庫管理機能などは必ずしも求められていません。
エムネットくらうどは、「町工場が実際に使う機能」を中心に、画面の見やすさやシンプルな操作性を重視して作られています。機能を絞ることで価格も抑えられ、「高度で複雑な機能は不要」という企業から好評を得ています。
エムネットくらうど × boardの連携機能
連携機能の概要
「連携のきっかけは、ユーザーさんから『boardいいよ』と教えてもらったことなんです」(胡子氏)
エムネットくらうどでは、boardとの連携機能も非常にシンプルに設定できます。board側でAPIキーを発行し、エムネットくらうど側で設定するだけで準備は完了します。
「事前にboard側に顧客マスターを登録しなくても、すぐに連携機能を使いはじめられることが特徴」(胡子氏)と説明されるように、board側に顧客情報が登録されていなくても、エムネットくらうど側で持っている情報を元にboardの顧客が自動的に作成されます。
また、項目のマッピングも自動で行われるため、ユーザーが初期設定をする必要はありません。
実際の業務では、エムネットくらうどの案件のメニューから「boardへ登録」を選択することで、案件の情報が連携されます。

連携機能のメリット
エムネットくらうどとboardを連携する最大のメリットは、手入力による手間やミスが減ることです。現場でエムネットくらうどに入力した情報がboardへ自動的に連携されるため、帳票の作成に際して手動で転記する必要がなくなります。
さらには、受注だけでなく、外注の情報もboardの発注情報として連携できるので、案件ごとのコストや粗利も管理しやすくなります。
実際に、同社には「生産管理から帳票作成まで、一度入力すれば済むようになったので二重入力が減って助かる」といった声も届いており、月末の帳票処理のスピードアップにつながっているそうです。

エムネットくらうど × boardで始める町工場のDX
エムネットくらうどを使うと、町工場の現場にフィットした生産管理を無理なく行えるようになります。加えて、boardと連携をすることで、データ入力の二度手間をなくしたり、原価管理を効率化したりすることができます。
「より多くの製造業、まだDXが進んでいない町工場さんに、エムネットくらうどをDXの入り口として広く認知していただき、製造業が活性化するような仕組みを作っていきたいと思っています」(胡子氏)
2025年3月、日本ツクリダス社は、生産管理システムの開発で国内最大手である株式会社テクノアとのパートナーシップを発表しました。今後はboard以外にも連携できるサービスを増やし、製造現場の業務をさらに効率化できる機能も準備中とのことです。
エムネットくらうどは、Webサイトからお問い合わせいただくと詳しい資料をご覧いただけます。また、担当者へ直接相談することも可能ですので、以下のリンクよりぜひお問い合わせください。
資料請求・ご相談 | 町工場専用!エムネットくらうど(M:net)|バーコードで簡単・町工場向け生産管理ソフト]
*boardのサポート窓口では、「エムネットくらうど」および「エムネットくらうどのboard連携機能」に関するご質問には対応していないため、ご利用にあたってご不明な点がありましたら、エムネットくらうどのお問い合わせフォームまでご連絡ください。