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経理と現場の役割分担〜boardとfreeeの連携をフル活用する

freee会計(以下「freee」)の大きな魅力は、さまざまなソフトウェアと連携できる点にあります。中でもboardとの連携は、請求業務や会計処理を自動化し、業務全体の効率を高める上で大きな効果を発揮します。ただし、こうした連携の効果を十分に活かすためには、現場と経理の役割分担を見直し、業務プロセスを整える必要があります。

boardが提供するfreee連携機能の特徴は、「普段の業務を行う中で、自動的に連携される」という点にあります。たとえば、売上のデータはboard上の請求書のステータスを「未請求」から「請求済」に変更したタイミングでfreeeに送信されます。

このような仕組みのため、経理担当者からは「現場の担当者が請求ステータスを変更するだけでfreeeに連携されてしまうのは不安だ」という声が上がることもあります。こうした不安はもっともですが、そのままにしておくと、本来なくせるはずの手動入力や確認作業がいつまでも業務に残ることになってしまいます。

本記事では、こうした懸念を払拭し、boardとfreeeを連携させた運用をうまく機能させるためのポイントを整理します。現場と経理の役割分担、freeeの「取引」の構造といった観点から、経理が考えるべき業務への取り組み方を考えていきます。

*この記事では、経理などのバックオフィス業務に対して、営業やCS、サービス提供部門などの顧客と接する立場にある部門をまとめて「現場」と呼びます。

執筆者:武内 俊介
税理士、業務設計士。
金融のシステム企画部門、会計事務所、数社のスタートアップのバックオフィスを経て、独立。
既存の業務やシステムの使用方法を徹底的にヒアリングしながら、最適な業務フローとシステムの構成を設計し、業務からシステムまで再構築の実績多数。
業務設計の支援を手がけるリベロ・コンサルティング代表をメインで活動中。

*当記事は寄稿記事です。

中小企業における「経理の守備範囲の広さ」

中小企業では、経理の守備範囲が非常に広くなる傾向があります。

会計ソフトは、仕訳や決算など財務会計を行うためのツールであり、主に経理担当者が使います。一方、販売管理ソフトは、請求書の発行や入金管理、売上集計といった日々の業務を支えるもので、営業や業務部門が扱うことが一般的です。

ところが、実際の中小企業では、この役割分担は必ずしも明確ではありません。経理は社内のあらゆる部門と関わりがあるため、業務の流れの中で、自然と現場の事務処理を引き受けることが多くなります。さらに、人手が限られていることも相まって、現場の事務処理の一部、場合によってはすべてを経理が担っているケースも少なくありません。

そういった企業においては、期限までに請求書が発行されなかったり、金額や取引内容に誤りがあったりしても、現場では「最終的には経理がなんとかしてくれるだろう」という意識が根強く残っています。その結果、経理担当者は毎月のように修正や確認に追われることになります。

そのような状態であれば、経理としては「自分がチェックしていない請求書が誤った内容のままfreeeに反映されたら困る」「freeeへの連携は内容を確認してから、自分のタイミングで行いたい」と感じるのも無理はありません。そのような不安が、「現場の担当者が『請求済』に変えるだけで、自動で会計ソフトに連携されてしまうのは困る」という発言につながっています。これは中小企業の経理に特有の「守備範囲の広さ」と「役割の重なり」によって生まれる構造的な問題と言えるでしょう。

boardが前提としている役割分担

boardが想定している「現場」と「経理」の役割分担は以下の通りです。

まず、freeeへ連携された内容が正しいかどうかのチェックは、経理の役割です。freeeにおける取引の勘定科目や部門の設定、消費税区分など、会計処理の観点からの確認は、経理が責任を持って行います。

一方、board上での請求書の金額確定は、現場が担います。売上に責任を持つ現場が、取引の実態を最もよく把握しているからです。どの取引先に、どの商品・サービスを、どのタイミングで、どの金額で提供したのか。それを把握しているのは、顧客と直接やり取りをしている現場です。

ただし、boardの会計連携機能の設定は経理の役割です。boardは販売管理システムであるため、メインユーザーとしては会計知識があまりない方を想定しており、案件や請求書などの画面では「勘定科目」などの会計用の設定を行わない仕様になっています。その代わり、会計連携の設定画面で条件を指定することによって、board側の情報を勘定科目・補助科目・部門・税区分などに変換して出力することができます。

boardにおける会計連携機能の設計思想を示すイメージ

boardで出力される会計データは、すべてのケースに完璧に一致するとは限りませんが、実務上の多くのケースには十分対応できます。実際に発生する売上パターンは、大抵の企業で10種類前後に収まることがほとんどです。boardでは取引先や案件区分、会計区分などの条件を自由に組み合わせて、詳細な設定を行えます。

たとえば、「案件区分1が○○の場合は、品目タグは××で、部門は△△」といった条件を設定できます。この設定では、デフォルト(標準)の出力パターンに加えて例外的なパターンにも柔軟に対応できます。

これまで「請求書を1件ずつ見ながら、正しい仕訳を登録する」ことが当たり前だった経理担当者にとっては、現場が請求処理を確定した時点で自動的に会計データが作成される仕組みはたしかに不安かもしれません。しかし、それは「請求書を見てから処理する」か、「事前に条件を設定して、パターンに当てはめて処理する」かの違いでしかありません。boardの会計連携設定は、かゆいところに手が届く玄人好みの機能ですので、経理担当者が頭で思い浮かべることのできる処理パターンには基本的には対応可能です。

会計連携機能を設定し、案件登録時にきちんと案件区分などを設定するよう現場に依頼をしたら、連携された取引データが想定通りのものになっているかをチェックしましょう。もし想定した状態でなければ、会計連携の設定を見直して、また連携するということを何回か繰り返すうちにイメージ通りの状態になるはずです。boardのサポート担当者は、設定に関する問い合わせにも丁寧に対応してくれます。不明点があれば、サポートを活用するのが効果的です。

自動連携は経理の味方

現代の会計処理は、「発生主義」で行うことが原則とされています。発生主義とは、取引や経済活動を「実際に起こったタイミング」で記録するという考え方です。たとえば「売上」については、現金の出入りに関わらず、商品やサービスを提供した時点で計上することになります。一般的には、請求書を発行した時点で売上を計上します。

freeeの「取引」は、「発生」と「決済」という2つの処理を1つにまとめたものです。発生してから決済されるのが大前提であり、発生が正しく認識されていれば、入金時にその取引を選ぶだけで消込が完了します。

freee会計における取引・発生・決済のイメージ

発生主義で処理を行うのはfreeeに限りませんが、freeeではこのように発生と決済が一体化しているため、発生を漏れなくタイムリーに記録することが非常に重要なのです。

この観点から見ると、board→freeeの自動連携は理にかなった仕組みです。従来の「発行した請求書を経理に共有する」というやり方では漏れが発生する可能性がありますが、自動連携であれば、すべての発行済みの請求書はfreeeに即座に反映されます。自動連携の設定によっては内容の調整が必要になることもあるかもしれませんが、計上が漏れていた場合に比べれば、影響範囲は遙かに小さいでしょう。

また、発行された請求書の情報が漏れなくfreeeに反映されることで、経理側の入金消込処理の負荷は大幅に削減されます。多くの取引先は、請求書を元に支払うため、基本的には発生した金額と入金金額が一致するからです。

さらに、金額や勘定科目・補助科目・部門などを手入力で登録する必要がなくなることで、人為的なミスも防止できます。複式簿記は、手書きによる記帳をベースに考案された仕組みであり、人間がミスをすることは織り込み済みの構造になっていますが、手間をかけずにミスを防げるのであれば、それが一番望ましいはずです。そして、決められた条件通りに確実に処理をするのは、システムが得意とするところです。

自動連携に対する不安を乗り越え、会計連携設定と現場のすり合わせをきちんと行えば、freeeとboardの連携は、処理スピードと正確性を両立しながら、経理の負担も軽減する強力な仕組みになります。その可能性に、ぜひ目を向けてみてください。

まとめ:自動連携を「活かす」視点へ

freeeとboardの自動連携は、一見すると「勝手にfreeeに連携されてしまう」と感じさせるものかもしれません。ですが実際には、事前に設定したルールに基づいて、きちんと処理される仕組みになっています。この仕組みを活かすには、現場と経理の間で設定やルールのすり合わせを事前に行っておくことが欠かせません。そのためには、経理側にも現場の業務に対する解像度の高い理解が求められます。現場と対立するのではなく、理解して歩み寄るという姿勢が重要なのです。

AIの進化によって、「手入力するのが当たり前」という前提は今後成り立たなくなっていくでしょう。人間が処理をすること自体がコストや品質リスクとみなされる時代が、すぐそこまで来ています。

システムは勝手に処理をするわけではなく、事前に設定した通りに動作します。視点を切り替えることで、「勝手に処理されると困る」ではなく、「どう設定すれば正しく処理されるか」を考える姿勢に変えていくことができます。

経理の役割は「仕訳を登録すること」ではなく、「正しい財務諸表を作ること」です。これまでは膨大な事務処理に追われて、漏れなく登録するだけで精一杯だったかもしれませんが、さまざまなツールを活用することで、中小企業においても手入力をほとんど行わずに経理処理を進めることが可能になってきています。

会計知識は非常に汎用性の高いスキルです。「仕訳を登録する」という手段に固執するのではなく、これまで身につけた会計知識を使って、AIやシステムをフル活用した業務の仕組みを設計する側に回ることも可能なはずです。もちろん、処理はシステムに任せたとしても、処理結果が正しいことを確認したり、正しい処理になるように設定したり、業務プロセス全体がスムーズに流れるように設計するのは人間の役割です。

生成AIやAIエージェントに比べると、boardとfreeeの会計連携機能はとてもシンプルです。まずはboardとfreeeの連携から、経理業務をもっとスマートに、そして前向きに進化させていきましょう。

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boardのヘルプページは充実しているので、困ったときにすぐに自己解決できますし、サポートに問い合わせても返信が早く、内容も丁寧かつ的確です

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会計ソフトに付属している請求書機能よりも、boardを使った方が請求・会計の連携がスムーズになると感じています

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