フリーランス・個人事業主の方へ発注した場合、業務内容によっては源泉徴収が必要になるケースがあります。その場合は、源泉徴収分を差し引いた金額を振り込み、支払日の翌月10日までに、差し引いた源泉徴収税を納付する必要があります。
今回は、この源泉徴収の納付漏れを防止するための対策を紹介しますが、まずは源泉徴収について簡単な説明からしていきたいと思います。(詳しくは国税庁のページをご覧ください)
源泉徴収の対象業務
源泉徴収の対象となる範囲は以下の通りです。(国税庁のページより引用)
・原稿料、講演料、デザイン料など
・弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
・芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
・ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
・プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
参考:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|源泉所得税|国税庁
源泉徴収の計算と納付期限
基本的な源泉徴収の計算は以下のように行います。
<100万円以下>
支払金額 x 10.21%
<100万円以上>
(支払金額 - 100万円)× 20.42%+102,100円
なお、司法書士の場合や海外在住者の場合など、上記の計算方法とは異なるケースもありますので、詳しくは下記をご覧ください。
参考:No.2793 報酬・料金等の源泉徴収義務者|源泉所得税|国税庁
源泉徴収をした場合、支払日の翌月10日までに納付する必要があります。
給与支払いの源泉徴収の場合は、従業員10人未満の場合は半年に1回まとめて納付することができる特例がありますが、外部の方への支払いの場合の源泉徴収は、特例はありませんので、支払日の翌月10日までに納付する必要があります。
源泉徴収に関する課題
フリーランス・個人事業主に対する源泉徴収の業務において、以下のような課題があります。
・源泉徴収対象の取引先かどうかの管理
・源泉徴収の対象となる業務内容か
・源泉徴収額の計算
・納付期限と納付済の管理
源泉徴収の納付は、件数が多いと大変なのはもちろんですが、取引先や業務内容によって発生有無が変わってくるため、件数が少ない場合は忘れがちで、業務上、課題になりやすいものになります。
そのため、日々の発注・支払業務と連動して、源泉徴収の納付までセットで管理できることが望ましいです。
納付漏れ防止のための管理
このように、取引先やその業務内容によって、源泉徴収要否が変わってくるため、源泉徴収自体を忘れて振り込んでしまったり、納付を忘れてしまうリスクがあります。
そこで、誰に対しての発注の場合は源泉徴収が必要なのか、また源泉徴収を差し引いた場合、納付を忘れないように管理していく必要があります。
取引先ごとに源泉徴収の要否を管理
前述のとおり、源泉徴収は、依頼内容によって要否が変わってくるため、一概に取引先単位で決まるものではありませんが、そもそも源泉徴収対象となり得る取引先なのかどうかを管理することが第一歩となります。
クラウド型業務・経営管理システム「board」では、発注先マスターに源泉徴収対象かどうかの設定を持つことができるようになっており、「源泉徴収あり」の発注先に対する発注を登録する場合は、自動的にその設定が引き継がれ、源泉徴収ありの発注として登録することができます。
もちろん、源泉徴収の業務内容でない場合は、発注登録時に「源泉徴収」を「なし」に変更することも可能です。
このように、源泉徴収対象となり得る発注先の場合は、あらかじめその設定をしておくことで、忘れにくくなります。
支払い後の納付漏れを防止
さて、発注先から請求書を受領した後、支払条件に応じた支払期限までに銀行振込等で支払いをしますが、それで支払業務は終わりではありません。支払日の翌月10日までに源泉徴収を納付しなければいけません。
boardでは、ダッシュボードと源泉徴収一覧という画面で簡単に納付管理を行うことができるようになっています。
まずダッシュボードには「源泉徴収未納」の件数が表示されており、これで未納があることをすぐに把握することができます。もちろん、わざわざタスクを追加するのではなく、支払いが完了し、ステータスが「支払済」になったら自動的に、「源泉徴収未納」の件数に加算されます。
また、「通知機能」を使って、任意のタイミングで、未納の通知をメール・Slack・Chatworkに飛ばすことができます。下図の例は、「納付期限の当日と5営業日前」に通知を飛ばす設定です。
源泉徴収一覧では、源泉徴収対象の支払いが一覧表示されます。合計金額も表示されていますので、これを納付のための用紙に記入し、金融機関等で支払いを行います。
このように、通常の業務と連動して、必要なタスク管理や納付しなければいけない額がわかるようになっているため、簡単に納付漏れ・納付間違いを防ぐことができます。