当記事では、案件区分の効果的な使い方について、具体的な活用例を挙げながら解説します。「案件区分」をベースに解説しますが、発注側にある「発注区分」も同様の考え方で利用できます。
案件区分とは
案件区分とは、案件を分類するための項目で、主に「売上集計の軸(切り口)」として利用されます。たとえば、「事業別」「販路別」といった集計軸を設定します。
案件区分には、「案件区分1」「案件区分2」「案件区分3」の3つの項目があり、これらは階層ではなく「3つの独立した項目」です。階層構造を持たせることはできません。
なお、案件区分の枠は3つが上限でそれ以上増やすことはできませんが、それぞれの項目の中での選択肢は任意に追加できます。
*選択肢の数に制限はありませんが、数十〜数百程度の件数を想定した仕組みです。
案件区分の活用例
案件区分にどのような内容を登録するのが適切かという点は、各社の事業内容によって大きく変わってきます。そのため一概には言えませんが、よくある例を以下にご紹介します。
事業・サービス
自社の事業やサービスを案件区分に設定することで、事業ごとの売上を確認できます。また、案件一覧画面等で、案件区分を検索条件に指定し、特定の事業の案件を絞り込んで確認するといったことも可能です。
案件区分として設定する「事業」をどの程度の粒度で設定するかは、集計機能を効果的に利用する上で重要なポイントになります。そのため、「どのような切り口の数字を見たいか」という集計側の視点で選択肢を決めていくと良いでしょう。
なお、事業が「部署」とイコールの場合、案件区分ではなく「グループ」の機能を使って案件を分類することで、項目別集計画面の「グループ」タブで集計結果を確認できます。そのため、案件区分には、部署とは一致していないような事業を設定すると良いと考えられます。
事業やサービスを案件区分に設定する際の例を以下に記載しますが、事業の内容は各社で様々ですので、自社に合った内容をご検討ください。
- システム開発 / コンサルティング / 運用保守 / ライセンス料
- Webサイト制作 / LP制作 / 画像制作 / アドバイザリー
- リフォーム / エアコン交換 / トイレ交換 / 浴室交換 / 配線工事
- マーケティング支援 / SNS運用代行 / 記事執筆 / 広告運用代行 / 展示会
- 名刺 / パンフレット / チラシ / その他紙媒体
- 製品販売 / 消耗品販売 / 部品販売 / メンテナンス
- 国内 / 海外(アジア)/ 海外(北米)/ 海外(欧州)/ 海外(その他)
- 不動産仲介 / 不動産販売 / 内装デザイン / 調達
- ベーシックプラン / スタンダードプラン / プレミアムプラン(特定事業のプラン名を登録)
- サービスA / サービスB / サービスC(自社のサービス名を具体的に登録)
契約形態
同一事業でも契約形態が異なるケースがありますが、契約形態を案件区分として登録することで収益構造の可視化に繋がります。たとえば、以下のような選択肢が考えられます。
- ストック売上 / フロー売上
- スポット契約 / 継続契約
- 初期費用 / 月額費用
- 新規契約 / 継続契約
- 直接契約 / 二次請け / 代理店
- 年払い / 月払い
たとえば「新規契約 / 継続契約」を分類することで、売上全体に占める既存顧客の割合などを把握できます。
販路
販売経路が複数ある場合、たとえば、「Webサイト / 紹介 / 代理店 / DM / 広告」などを設定することで、どの経路からの売上が多いかなどを分析できるようになります。
代理店
board上の「顧客」として「代理店」の情報ではなく「エンドの顧客」の情報を登録している場合、項目別集計画面の「顧客」タブで表示される売上は、エンドの顧客ごとの集計結果になります。そのような場合において、代理店別の集計も行いたい場合には、案件区分に「代理店名」を入れて運用する方法が考えられます。
実務担当者名
boardでは、案件編集画面の「自社の担当者」は1名のみ登録できる仕組みですが、1つの案件に対して営業担当者と実務担当者の2名がいる場合もあります。このような場合、案件編集画面の「自社の担当者」には営業担当者名を登録し、「案件区分」に実務担当者名を登録することで、項目別集計画面で営業担当者別と実務担当者別の売上をそれぞれ確認できます。
案件区分1〜3の使い分け
案件区分1〜3は、階層構造ではなくそれぞれが独立した集計軸です。案件区分それぞれは相互に関連はしません。
そのため、たとえば、「案件区分1:事業」「案件区分2:契約形態」「案件区分3:販路」のように役割を決めて運用するイメージになります。
なお、案件区分1〜3のそれぞれの項目で選択できる値は1つだけです。そのため、たとえば、案件区分1に「事業」と「販路」の選択肢を混在させて登録することはできませんので注意してください。
集計機能での表示イメージ
項目別集計
案件区分に「事業」を設定した場合の例を紹介します。
円グラフでは、下図のように事業別の割合を確認できます。
項目別集計ではグラフの種類を切り替えることができます。下図のように折れ線グラフで表示することもできます。
クロス集計
クロス集計では縦軸と横軸を指定して、その組み合わせでの数字を確認できます。下図の例は「縦軸:グループ」「横軸:案件区分(事業)」を指定した場合の表示です。このように、グループ別・事業(案件区分)別の売上が表示されます。
案件一覧・請求一覧などの検索条件での活用
案件区分は、案件一覧や請求一覧などの検索条件でも利用できます。たとえば「案件区分1」に「事業」を指定している場合、それを指定することで、特定の事業の案件のみを絞り込んで表示することができます。
また、案件一覧や請求一覧ではCSVの出力もできますので、特定の事業のデータをCSV出力してExcelで加工したり、board以外のシステムで活用するということもできます。
よくあるご質問
案件区分に「担当者」や「部署」を入れることで担当者別・部署別集計を見られるようにしたいと考えています。このような使い方は適切ですか?
そういった使い方も可能ですが、案件には「担当者」と「グループ」という専用の項目があり、これらは、項目別集計画面の「担当者」タブや「グループ」タブで集計結果を表示できます。
そのため、集計したい内容が「担当者」や「グループ」とまったく同じであれば、別途案件区分に設定する必要はありません。
一方で、たとえば「グループ」の場合、申請フローの割り当てなどでも利用されるため、必ずしも「売上集計の対象範囲にしたい部署の単位」と「申請フローなどの割り当てに必要な部署の単位」が一致しているとは限りません。このような場合、別途案件区分に部署を入れるという方法が考えられます。
また、先述の活用例にも上げたように、1つの案件に「営業担当者」と「実務担当者」がいるような場合には、一方を案件区分として登録する方法もあります。
1つの案件の中に複数の事業が混在するため、案件区分ではうまく設定できません。
この場合、もし「事業」と「請求書の明細」が紐づく場合は、「明細別分類」機能を使って明細ごとに異なる案件区分を設定することが可能です。詳しくはヘルプ「明細別分類を設定」を参照してください。
タグとの使い分けを教えてください。
タグとの使い分けについては、FAQ「案件区分・タグ・グループの使い分けを教えてください」をご覧ください。
案件区分を使って商品別の集計はできますか?
ビジネスモデル次第かと考えられます。
案件区分は、原則は案件単位に設定する仕組みで、明細別分類によって明細ごとに設定することは可能ですが、設定の手間が大きくなるケースもあります。そのため、案件区分は案件単位に設定する使い方が基本です。
なお、同一案件内に商品がたくさんあるような場合は、明細別分類の画面での設定の手間が増えてしまいますので、運用負荷が増大してしまいます。
一方で、「1案件 = 1商品」というようなビジネスモデルもあります。このような場合は、商品の種類が多くなければ、案件区分に「商品」を設定することで、商品別の売上集計に使えると思われます。
なお、「1つの受注に複数の商品を含むが、項目別集計画面で商品別の集計結果を見ることを優先して、1案件1商品になるように案件を分けて登録し、合計請求書で1つの請求書にまとめる」という使い方をするケースが見受けられます。 そういった使い方自体は可能ではあるのですが、運用の手間を考えると現実的ではないケースがあることから推奨しません。
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