案件内の書類ごとに宛先・送付先を変更する

この機能を利用可能なユーザー権限
マスターアカウント 管理者 責任者 リーダー 担当者 カスタム権限
設定次第
      

 

*当機能は、案件と発注のどちらでも利用することができますが、当ヘルプでは記述をシンプルにするため、「案件」を題材に説明します。発注については、「案件→発注」「顧客→発注先」に読み替えてください。

 

boardは、「案件単位」で見積書や請求書などの書類を管理する仕組みであるため、基本的には、同一案件内の各書類の宛先は、案件に設定した顧客の宛先が共通で使用されます。

一方、同一案件内の書類であっても、その中の特定の書類に対して、異なる宛先・送付先を設定したいというケースはあるため、そのような場合には当機能をご利用ください。

 

利用シーン

たとえば、以下のようなケースに対応することができます。

  • 見積書は営業担当者宛、請求書は経理担当者宛
  • 見積書は子会社宛、請求書は経理業務を一括で行っている親会社宛
  • 納品書は店舗宛、請求書は本社宛
  • 見積書・発注書は顧客宛、請求書は経理代行を委託している会社宛

 

基本的な概念

各書類の編集画面下部の「その他設定」内に、「書類上の宛先」「送付先」という設定項目があります。それぞれ適用される対象が異なります。

 

*「書類上の宛先」「送付先」では、それぞれ顧客・顧客支社・顧客担当者を指定することができますが、以降の説明では、便宜的にまとめて「顧客」と記します。

 

■書類上の宛先

書類左上の「○○株式会社 御中」の部分が指定の顧客に置き換わります。また、送付状・窓付き封筒の窓枠の宛名・郵送代行・メール送信など、その書類のすべての宛先が、指定の顧客に置き換わります。

つまり、「書類上の宛先」を変更すると、書類上の表記も、送付先も変わります。

たとえば、「見積書は子会社宛、請求書は親会社宛」というケースでは、この「書類上の宛先」を使用します。

■送付先

書類左上の「○○株式会社 御中」の部分には影響せず、送付状の宛名・窓付き封筒の窓枠の住所や会社名・郵送代行の送付先・メール送信先のメールアドレス・メール送信履歴の送付先など、実際に送る宛先が指定の顧客に置き換わります。

つまり、「送付先」は「どこに(誰に)送るか」を指定するものであり、書類上の宛名表記が「誰(どの会社)宛か」という点には影響しません。

たとえば、「書類上の宛名表記はすべて同じだが、送付先は見積書を営業担当、請求書は経理担当としたい」というケースでは、この「送付先」の設定を使用します。

 

「書類上の宛先」と「送付先」の両方を指定した場合、送付先が適用される箇所に関しては、送付先の設定が優先されます。そのため、「案件情報→書類上の宛先→送付先」という順番で上書きされていきます。

なお、「書類上の宛先」「送付先」が未設定の場合は、案件情報の設定が引き継がれます。そのため、「書類上の宛先」「送付先」を使って、「案件情報で設定した内容を空欄に置き換える」ということはできません。

たとえば、「案件情報に顧客担当者を指定して、請求書上では顧客担当者を未設定にする」ということはできません。

 

適用範囲の早見表

顧客情報は、書類上の表示だけでなく、様々な箇所に使用されています。そのため、当機能によって、書類に関しては様々なケースに対応できるようになる一方、書類以外の機能においては、それが適用される範囲がわかりにくくなります。

影響範囲を確認したい場合、あるいは意図しない表示になっているため原因を調べたいという場合は、以下の早見表をご利用ください。

反映箇所 書類上の宛先 送付先
書類の宛先(書類左上の○○株式会社 御中) ×
送付状の宛先
窓付きレイアウト・郵送代行時の窓枠に表示される宛先
送付状・郵送代行時の同封の判定
メール送信時にデフォルトでセットされるメールアドレス
メール差込タグの「会社名」「担当者」
メール・郵送履歴画面上の「顧客」
ファイル名設定の差込タグの「顧客」 ×
クラウドサイン連携の「契約相手の名称」「宛先」 ×
DocuSign連携の「宛先」 ×
合計請求書の合算可否(同一顧客かどうか)判定 ×
捺印申請時の顧客名 ×
顧客別入金一覧での顧客単位の集約 ×
会計連携の「顧客」 ×
案件一覧・請求一覧等での検索・表示・CSVダウンロードでの「顧客」 × ×
分析機能における「顧客」 × ×
通知機能による通知内容記載の「顧客」 × ×

*「書類上の宛先」「送付先」の両方が指定されている場合、「送付先」が適用される箇所については「送付先」が優先されます。

 

書類ごとに宛先が異なる状態で同時に送付

boardでは、複数の書類をまとめてメール・郵送・電子契約サービス連携の送付ができるため、以下のような状況が発生する可能性があります。

  1. 納品書は顧客A宛、請求書は顧客B宛とする
  2. この「納品書&請求書」をまとめて送付
このように、宛先が異なる2つの書類をメール・郵送等で送ろうとした場合はエラーになり、これらは送付できないようになっています。

 

他の書類へ反映時の挙動

各書類保存時に、保存ボタン左側にある「保存オプション」で、保存内容を他の書類に反映することができます。この際、「書類上の宛先」「送付先」は、「同一種類の書類に反映した場合のみ」反映されるようになっており、他の種類の書類には反映されないようになっています。

たとえば、以下のようになります。

■見積書で「書類上の宛先」を指定して「明細を他の書類に反映」を選択して保存

この場合、発注書・納品書・請求書・領収書には、見積書で指定した「書類上の宛先」は反映されません。

「書類上の宛先」「送付先」は、「書類単位」で設定する情報であるため、明細などとは異なり、他の書類には反映されないようになっています。

■請求書で「書類上の宛先」を指定して「未請求の請求書・領収書へ明細を反映」を選択して保存

定期請求・分割請求において、請求書が複数ある場合は、未請求のものに一括反映するための保存オプションがあります。この場合、同一種類の書類(この例では請求書)に対しては、「書類上の宛先」「送付先」も反映されます。一方、領収書は別の種類の書類であるため、反映されません。

 

なお、上記では見積書・請求書について例示しましたが、他の書類においても同様の仕組みです。

 

顧客情報最新化

boardの顧客・顧客支社情報は、過去の案件を閲覧したり書類を発行したりした時に、当時の状態を再現できるよう、案件登録時の情報を案件ごとに保持するようになっています。

参考:案件情報に紐付いた顧客・顧客支社情報を最新化する

この考え方は、「書類上の宛先」にも適用されます。一方、「送付先」については、過去の住所に郵送するということはないため、常に最新の情報が使用されます。

案件登録後に顧客情報を変更し、それを書類に反映したい場合、上記ヘルプにある方法で「顧客情報最新化」を行います。この場合、「書類上の宛先」の設定次第で「顧客情報最新化」の動きが変わります。

■案件編集画面にある「顧客情報最新化」ボタン

案件情報に紐付く顧客情報のみが最新化の対象で、「書類上の宛先」を指定している書類には影響しません。

■書類編集画面上にある「最新化」リンク

「書類上の宛先」が未指定の場合は、案件情報に紐付く顧客情報がすべて最新化されます。

「書類上の宛先」が指定されている場合は、その書類に紐付く顧客情報のみが最新化されます。案件情報や他の書類には影響しません。

 

送付状・郵送代行時の同封

複数の案件に対して、同時にPDF出力や郵送代行登録を行った場合、同じ宛先(顧客・顧客支社・顧客担当者の組み合わせ)の場合は、1つの送付状、1つの封筒に同封されるようになっています。

この同封の判定に際しては、実際に郵送される宛先を元に振り分けるため、「送付先」の設定が考慮されます。

たとえば、以下の3つの案件は、

案件1:案件情報に「顧客A」、請求書の「書類上の宛先」は未指定
案件2:案件情報に「顧客B」、請求書の「書類上の宛先」に「顧客A」
案件3:案件情報に「顧客B」、請求書の「送付先」に「顧客A」

「送付先」がすべて「顧客A」になるため、1つの封筒に同封されます。

 

ファイル名設定差込タグの「顧客」

ファイル名設定の差込タグに「顧客」を指定できるものがあります。この機能により、PDF出力時のファイル名に顧客名を入れることができます。

この顧客名は、書類の宛先に一致しているべきと考えられるため、「書類上の宛先」は反映され、「送付先」は反映されません。

なお、boardからのPDF出力では、「見積書&発注書」「納品書&請求書」のように、複数の書類をまとめて出力することができます。そのため、たとえば「納品書はA社宛、請求書はB社宛」のように、書類ごとに異なる宛先が指定されているケースもあり得ます。

そのようなケースで、ファイル名に顧客名を出力する設定にしている場合、どの書類の顧客を優先するかということはケースバイケースになり、システム側で自動的に決めることはできないため、最初に処理された書類の宛先がファイル名に使用されます。そのため、ご希望の顧客名でない場合は手動で変更を行ってください。

 

合計請求書

合計請求書は、同一顧客宛の請求書を1つにまとめる機能であるため、「書類上の宛先が同じものが対象」と考えられます。そのため、「書類上の宛先」を指定している場合は、その組み合わせによって、合計請求書として合算できるかどうかが変わります。

たとえば、以下の組み合わせの場合、

案件1:案件情報に「顧客A」、請求書の「書類上の宛先」は未指定
案件2:案件情報に「顧客B」、請求書の「書類上の宛先」に「顧客A」

どちらも請求書の宛先は「顧客A」になるため、合算可能です。

一方、以下の組み合わせの場合、

案件1:案件情報に「顧客A」、請求書の「書類上の宛先」は未指定
案件2:案件情報に「顧客A」、請求書の「書類上の宛先」に「顧客B」

請求書の宛先は、案件1が「顧客A」、案件2は「顧客B」で異なるため、合計請求書として1つにまとめることはできません。

なお、「送付先」のみを指定している場合は、合計請求書の合算可否には影響しません。

 

捺印申請

捺印申請時のメールや申請一覧に表示される名称は、書類上の宛先と一致している状態が適切と考えられるため、「書類上の宛先」を指定している場合はそれが反映されます。

一方、「送付先」のみを指定している場合は、捺印申請に関わる表示には影響しません。

 

顧客別入金一覧

顧客別入金一覧は、請求したものに対する「入金確認」を行う画面であり、この入金は請求書上の宛先の会社から行われると考えられるため、「書類上の宛先」が考慮され、「送付先」は影響しません。

たとえば、

案件1:案件情報に「顧客A」、請求書の「書類上の宛先」は未指定
案件2:案件情報に「顧客B」、請求書の「書類上の宛先」に「顧客A」

となっている場合、どちらも「顧客A」宛の請求書になりますので、顧客別入金一覧上では、案件1・案件2の入金は「顧客A」に集約されます。

 

会計連携

会計連携機能は、「請求データ」を使用するものと「計上データ」を使用するものがあります。
*freee連携は「請求データ」のみ。

「計上データ」は、「請求書と切り離して手動で加工するための機能」であるため、「計上データ」ベースの会計データ出力には「書類上の宛先」「送付先」の設定は反映されず、「案件情報の顧客」が使用されます。

「請求データ」ベースの会計データ出力の場合は、顧客の情報を「取引先」「補助科目」などに出力することができますが、これは「請求書の宛先」と一致しているものと考えられますので、「書類上の宛先」が反映され、「送付先」は反映されません。

たとえば、案件情報に「顧客B」、請求書の「書類上の宛先」に「顧客A」という請求書があった場合、「顧客A」が使用されます。

なお、発注の方は、現状、会計連携機能と支払通知書は連動していません。そのため、支払通知書の「書類上の宛先」を変更しても会計データには影響しません。

 

一覧での検索・表示・CSVダウンロード

案件一覧・請求一覧などの検索条件の顧客、検索結果に表示される顧客名、またCSV出力時の顧客名などは、すべて「案件情報の顧客」が使用されます。

「案件単位」で管理するというboardの性質上、各一覧画面において、「案件情報の顧客」で管理ができなくなることは適切ではないため、これらの箇所には「書類上の宛先」「送付先」は影響しません。

しかしながら、一覧画面で「書類上の宛先」「送付先」に指定した顧客で検索・表示したい、CSVにそれらの情報を出力したいというニーズは想定していますので、この点については、今後の検討候補に入っています。

 

顧客支社選択時の「郵送時の表示」

顧客支社の選択時に「郵送時の表示」を選択することができますが、「案件情報で支社を選択したケース」と「書類上の宛先・送付先で支社を選択したケース」では仕様が異なります。

従来の、案件情報で支社を選択した際の「郵送時の表示」の設定は、「郵送代行」および「窓付き封筒レイアウトで出力」を行った際の宛名部分に適用されています。

一方、「書類上の宛先」「送付先」で支社を選択した際の「郵送時の表示」は、それに加えて「送付状の宛先」にも適用されます。つまり、この場合は「窓付き」でない送付状にも「郵送時の表示」が適用されるようになります。

送付状は、主に郵送時に入れるものですので、本来は「郵送時の表示」が適用されるのが適切と考えられますが、従来の「案件情報で支社を選択した際の設定」ではそのようになっておらず、この互換性維持のため、この部分の仕様は以前のままとしています。一方、今回追加した「書類上の宛先」「送付先」においては、上記のように、より適切なかたちで適用される仕様にしています。



‹‹ 書類の小計・消費税を手動で変更する 案件内の書類ごとに異なる自社担当者を設定する ››
一覧に戻る